| EN |

亀山恵:浅い眠り -Light Sleepers-
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 1月 20日

画像提供:ギャラリーモモ・六本木 copy right(c) Megumu KAMEYAMA

亀山恵初個展。亀山さんは1988 年広島県生まれ、現在武蔵野美術大学造形学部3 年に在学中。今展では油彩作品約10 点、他にもドローイング作品による展示を行います。

また、今展は国立新美術館での五美大展に合わせた、4つの画廊による企画「Roppongi α Art Week」の一環として企画されたもので、スタンプラリーも実施、あわせてご高覧下さい。

作家コメント
私の作品には半獣だったり、よくわからない生き物が出てきたりしますが、それは他人に指摘されるほど私にとって重要でなく、不思議でもありません。私は小さな頃から起きながらにして夢を見ているような感覚があり、クラスメートが魚になったり、自分が教室を浮遊したり、想像したイメージと現実に目の前に存在しているものが、どこかで混ざり合い解け合って混在しています。

個々の感覚で物事をとらえ、普遍的に存在しているものと融合させながらこの世界を観ているのは、私に限らず誰しもが持っているもののように思います。

私たちは個々のさまざまな個人的体験や想像力によって、あるいはねじまげられ、複雑化しながら、それぞれの観ているこの世界に生きています。身体感覚が失われつつある今は特に個々の思考だけが浮遊し、浅い眠りの中にこの世界を生きているように感じます。

起きていても眠っていても感じる、その浮遊するようなとらえどころのない感覚、それ自体を私は描きたいのかもしれません。
2010 年 亀山恵

略年譜
1988 広島県生まれ
2007 武蔵野美術大学造形学部油絵科 入学
現在、同大学3 年に在学中

※全文提供: ギャラリーモモ・六本木

最終更新 2010年 2月 13日
 

編集部ノート    執筆:平田剛志


白目が描かれた顔、馬の頭を持つ半獣と手を重ねる少年など、描写された細部に物語や連想を誘導する亀山の絵画は、私たちが思うほど意味や意図があるわけではないようだ。亀山自身の日頃の浮遊感覚が反映されたものらしいのだ。 そう、亀山の絵画は鑑賞者の思惑を裏切る。寝返る。そこで、亀山の絵画は本展タイトルに因んで言えば「寝返り」の絵画である。例えば、人は寝ているとき、意図して「寝返り」を打つことはない。温湿度や物音、夢や無意識の身体の反応として「寝返り」をするだけである。それが転じて、「裏切り」のことを「寝返る」という。つまり、「寝返り」とはそれほどに不意を突く身振りなのだ。 亀山の絵画はこちらの思惑を超えて、私たちに「寝返り」を打つ。夢見心地の絵画空間に私たちが向けるまなざしは「寝返られていく」。その浅い眠りが深くなるのか、起きるのか、どの方向へ寝返りを打つのか。今回が初個展である亀山の今後の「浅い眠り」を私たちは安らかに見届けたい。


関連情報


| EN |