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烏丸由美:ぼくたちの東京ストーリーズ。
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 1月 24日

「ぼくたちの東京ストーリーズ。n.1」2010 | カンバスに鉛筆、インクとアクリル絵具 200×145cm | (c) KARASUMARU Yumi | Courtesy Mizuma Art Gallery

烏丸は、イタリア・ボローニャを拠点に活動をしています。近年はイタリア・ブレッシャのファビオ・パリスアートギャラリーでの個展や、アメリカ、ヨーロッパでのグループ展への参加、また2009年世界陸上ベルリン大会での公式アートエディションに選出されるなど、精力的に活躍の場を広げています。作品は「日本」との距離を繊細に体感することによって無意識的に生じてくる憂いや不安、想いが制作の根幹となっています。制作方法は、烏丸自ら撮影した写真をカンバスに写し出し、浮かび上がる陰影の濃淡を丹念に追っていくことから始まります。緻密な作業を経て画面にあらわれた描線による色面の模様は、自身が直感的に選び調合した多数の色によってジグソーパズルのように埋められてゆきます。そうして浮かびがった場景の上にはさらにインクで細密なドローイングが施されます。雑踏の中の人々、おもちゃや街で見つけたオブジェなど、描かれたさまざまなイメージと多様な色彩は二重三重とかさなり、蜘蛛の糸のように絡まって、まるで深淵に臨むがごとく計り知れない深みを増してゆきます。

本展「ぼくたちの東京ストーリーズ。」は、烏丸が帰国の度にカメラに収めた東京の風景をもとに描きおこされたシリーズを中心に展開します。 私たちにとっては生活の舞台として日々の小さな歴史が積み重なっていく街「東京」。この国、そしてこの街がつくり上げてきた歴史の流れは、やがて個々の小さな歴史へとつながり、現代の世相を反映した「ストーリー」を紡ぎます。毎日の小さな感情の起伏や物語が繰り広げられる東京の風景は、烏丸が描く色彩と線によってまた異なった彩りを提示してくれることでしょう。

また前回に続き、会期中にパフォーマンスを開催いたします。旅先で出会った人々が烏丸に語りかけた人生の思い出話やエピソード、身近な人々の不思議な話や夢の話などを、烏丸がまるで山の中のストーリー・テラーのように腰をおろし、声と音色で穏やかにひんやりと伝えます。 カンバスの中の「ストーリー」とは違った視点から、それぞれの経験や感性を持って想いを巡らせる機会となることを期待しています。

■烏丸由美パフォーマンス 「ストーリーテラー(STORY TELLER)」
2010年2月7日(日)13:00- / 16:00- ミヅマ・アクションにて ※全文提供: ミヅマアートギャラリー

最終更新 2010年 1月 27日
 

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