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Black & White
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2009年 11月 27日

ディルク・ラスケ 画像提供:GALLERY TERASHITA copy right(c) Dirk Rathke

日本とヨーロッパの作家7名、五十嵐彰雄、ピーター・リンチ、ヨハン・メイエリンク、小川佳夫、ディルク・ラスケ、鈴木隆、ディーター・ヴィリンガーによる、白と黒の作品を展示する。

最終更新 2009年 11月 30日
 

編集部ノート    執筆:平田剛志


クリスマスを控えた街は輝くイルミネーションに彩られる。師走の東京では見慣れた光景ではあるが、その過剰な色彩は何も私には伝えてこない。むしろ、今こそBlack&Whiteの持つ深奥にして、多様な広がりと多彩さに気がつくべき時ではないか。 本展で見ることのできる日本、イギリス、オランダ、ドイツの作家たちがそれぞれ表現するBlack&Whiteの作品は、この街のイルミネーションより、輝かしく暖かく美しい。 そして、見る角度を変えながらゆっくり見てほしい。すると、いままで黒と白でしかなかった絵画面に異なる相/層が見え始めるのだ。筆のストロークや絵の具を何層も塗り重ねた厚みがBlack&Whiteを多彩にしていることがわかるだろう。 色彩が「暗い」ことは、受け取る感覚が「暗い」ということにはならない。例えば、ディルケ・ラスケの「untitled(609)」(2008)を見てみよう。微妙なカーブをもつ変形キャンヴァスというだけで、高度な手技に嘆息するが、その黒の柔らかさは「暗さ」とは無縁のものである。 そう、絵画の表面に見えている色だけで色を判断してはいけない。展示されているBlack&Whiteのバリエーションこそを見てほしい。すると同じ黒と白でも、印象が異なることがわかるだろう。その肌理を見た時、どんなイルミネーションにも到達不可能なBlack&Whiteの豊かさに気づくはずだ。


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