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シェル美術賞展2009
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 11月 13日

2009準グランプリ作品 吉田晋之介 「樹海にて」 画像提供:ヒルサイドテラス

シェル美術賞展は、1956年にスタートし、当時の美術界に大きな影響を与えたシェル美術賞、また平成に新しく開催された昭和シェル現代美術賞の実績を踏まえ、新しい現代絵画の表現を担う優秀な若手作家(40歳以下が対象)を発掘することを目的とした公募展です。

今年度は、「その挑戦が、新しい表現になる。」というメッセージのもと、金融不況により低迷するアート市場に、若手アーティストたちの挑戦で活力を与えて欲しいという期待を込めて作品を募集し、1,093名の作家の方々から1,666点に及ぶ作品の応募がありました。審査員長の本江邦夫氏(多摩美術大学教授)、審査員の中井康之氏(国立国際美術館主任研究員)、家村珠代氏(インディペンデント・キュレーター)による厳正な審査の結果、準グランプリ1点、審査員賞3点、審査員奨励賞3点を含む、計37点の受賞・入選作品が決定いたしました。最終審査での慎重な協議の結果、吉田晋之介さんの『樹海にて』が審査員の支持を集めましたが、「シェル美術賞」のグランプリのレベルには一歩及ばず、今後の展開に期待したいという理由から、本年度は「グランプリ」については該当無しとし、「準グランプリ」1点を選出する運びとなりました。

※全文提供: ヒルサイドテラス

最終更新 2009年 11月 11日
 

編集部ノート    執筆:小金沢智


昭和シェル石油株式会社主催による40歳以下の作家の、平面作品を対象にした美術賞の受賞・入選作家展。カタログによればシェル美術賞は1956年に創設されたという。戦後間もない時期に創設され、途中停止期間がありながらも今まで続いているとは恐れ入る。厳しい時代だからこそ、今後の継続にも期待したい。 今年は1,093名の応募、1,666作品の応募があり、37点の作品が受賞、入賞となったという。こういう賞で面白いのは、審査員による受賞作品を見つつ、では自分であれば何を選ぶか考えながら作品を見ることだろう。私たちは1,666作品を見ることができず、37点の既に選ばれているものを対象にしなければならない時点で立場が明らかに違うのだが、それでもある程度の数の作品を自分の審美眼に乗っ取って作品を見ることは面白い。私が最も気になったのは、畳の上で開脚をしている(おそらく)女の子が描写されている遠藤美香(1984年生まれ)の《無題》(墨・水性木板・和紙、132×144.5cm、2009年)。鮮やかな色遣いの作品が多くを占める中、モノクロの表現が目を引いたということもあるが、畳の上での開脚という不思議な情景が妙に印象に残っている。派手さはないが、今後もその表現を見てみたい作家はそのくらいだ。


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