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安齊重男 展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 11月 11日

by ANZAI レンズの中の表現者達


画像提供:多摩美術大学美術館

現代美術の伴走者として世界中を駆け回る安齊重男。

1970年「第10回日本国際美術展--人間と物質」において、リチャード・セラ、ダニエル・ビュラン、マリオ・メルツらの助手兼カメラマンを務めたことから始まり、それから40年後の現在に至るまで、そのアート・ドキュメンタリストとしてのスピードとパワーは衰えません。今回の展覧会では、多摩美術大学美術館において、連作「Freeze」およびポートレイト作品約200点を展示し、また多摩美術大学図書館(八王子キャンパス)アーケードギャラリーでは、1970年代以降の現代美術史に多摩美術大学がどのように関係し、その一翼を担ってきたかを安齊の写真をもとに俯瞰的に捉えられる展示となるでしょう。またこれらは安齊重男と学生たちが授業を通じ、互いに投げかけ、問いかけ合うことから一緒に作り上げた企画です。写真の背景に潜む安齊自身の言葉を、どれだけ若き明日のアーティストたちが引き出すことができるのか、授業はいまだ進行中です。

※全文提供: 多摩美術大学美術館

最終更新 2009年 10月 23日
 

編集部ノート    執筆:平田剛志


美術は現場で起こる。そこに行かなければ見られないのが「美術」であり、現場にしかないのが「美術」なのだ。つまり、美術と場所は切り離せない密接な関係がある。そのため、美術という「現象」を現場で記録することは大変重要な仕事である。 多摩美術大学美術館と八王子図書館アーケードギャラリーの2会場によって開催される本展は、アートドキュメンタリスト安齊重男の約40年に渡る活動を紹介するものである。美術館ではテーマ展示を、図書館では時系列に展示を行うことで、安齊重男が立ち会ってきた「現代美術史」の一局面が明らかになるだろう。現代美術愛好家の諸兄姉であれば、その知識や記憶を想起させる場となるだろうし、若い学生達にとってはヴィジュアル現代日本美術史として見ることができるだろう。 しかし、安齊氏とて身体は一つである。すべての現代美術の事象を記録しているわけではない。安齊重男は何を写さなかったのかを考えると、もうひとつの「日本現代美術史」が現れるはずである。


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