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坂口寛敏:パスカルの光
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 11月 03日

≪パスカルの庭 -異界-≫インスタレーション2009年|東京藝術大学大学美術館「異界の風景」展示風景|画像提供:ギャラリー58

坂口寛敏は1949年福岡県生まれ。1975年東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。1976年から84年までの8年間西ドイツ・ミュンヘンに滞在。帰国後は東京を拠点に、国内外で幅広く活動をおこなっています。越後妻有アートトリエンナーレには第1回目より毎回参加し、生命の循環を感じさせる巨大なアースワークの作品が信濃川沿いの緑地に溶け込んでいます。 スケールの大きな屋外作品や、絵画・映像など様々な表現形式を組み合わせたインスタレーションにおいて、「場」と関わる作品を生み出し、そこには“渦巻き”や“螺旋”“円錐形”など、生成と循環のエネルギーに充ちた形状が現れます。近年の作品タイトルには、「パスカルの庭」「パスカルの海」「パスカルの山」など、「パスカル」というキーワードが登場し(フランスの思想家・哲学者ブレーズ・パスカル)、そこには“creative space=創造の空間”という意味も込められています。 このたびの展覧会「パスカルの光」は、絵画と映像作品のインスタレーションで構成されます。綿布にガスバーナーの炎で焼き焦がし描画した画面の上に、野焼きのあと若草が芽吹くように自作の緑チョークで再生のイメージを描いた平面作品が取り巻く空間と、鉛の小屋の内部に流れる“光”(=啓示を受ける創造の場)のヴィデオインスタレーション。日常の時間の流れを「断ち切り」そして遥かな想像の海に「接続」することを試みます。

【作家コメント】
海は海水が消え去り山となり

山は海水に沈み海となる

空は大気が消え

風も層もない宇宙となる

創造の源泉に立ち返り、繰り返し更新される創造の環の中に自己を接続させる。
人の生に流れる時間は、果たして途切れることなく連続しているのだろうか。
日常と表裏一体となって寄り添う非日常は、
例えば太陽と月、現実と夢、生と死という文学的二項対立に置き換えずとも
人が紡いだ概念の数を越えて増殖する。
日常の時間の流れをどこかで「断ち切る」試みをすることに、芸術は関与しているのだろうか。

【プロフィール】
1949年 福岡県生まれ
1973年 東京藝術大学 美術学部絵画科油画専攻卒業
1975年 東京藝術大学 大学院美術研究科油画専攻修了
1976-84年 西ドイツ ミュンヘン滞在
1983年 ミュンヘン美術アカデミー絵画科卒業 主な個展:
1988・90年 ヒルサイドギャラリー(東京)
1989年 東京ドイツ文化会館(東京)
1991・93・95・07年 調布画廊(東京)
1993・97年 村松画廊(東京)
2002・06年 表参道画廊(東京)
2006年 ギャラリーとわーる(福岡)
2007年 「パスカルの庭・都市軸・時間軸」渋川市美術館・桑原巨守彫刻美術館(群馬)、「パスカルの庭」ギャラリー58(東京)
2008年 ヤマネ・アートラボ(福岡) 他

※全文提供: ギャラリー58

最終更新 2009年 11月 16日
 

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