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大島成己:Reflections
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 11月 02日

画像提供:ギャラリーノマル copy right(c) Naruki OSHIMA

今展では2002年から継続的に発表している「Reflections」シリーズの新作を展示いたします。 日常のシーンに視線を向けたとき、そこには無作為の現象が存在しています。これまでのシリーズは、ドイツのデュッセルドルフ・大阪・京都など、作家が馴染みの街をモティーフに制作されてきました。主に建築物を被写体とし、ウィンドー越しに見える内部と反射する手前の景色といった要素をいかに事象としての映像へ変換するか--「Reflections」の制作において大島は一貫して追求してきました。その画面を前にすると、光の反射によって視覚にもたらされる奥行きや前後関係の喪失、物質からの色彩の遊離といった現象に立ち会うことができます。 本展で発表する新作は視覚の認識の曖昧さがより画面に現れています。私たちは一体、何を見ているのか--? 観る者を否応なしに視覚の深部へ引き込む力を持っています。 同シリーズは、2003年第1回ロッテルダム国際建築ビエンナーレ、2004年のヴェネチアビエンナーレ第9回国際建築展写真部門にも出展するなど、写真・建築の両面から国際的にも高い評価を得ています。当画廊では2002年、'04年、'06年に続き4度目の発表となります。今展では新作8点を中心にご紹介します。

作家コメント
「Reflections」シリーズの狙いは、幾十にも重なる平板化した風景イメージを写真に通過させることで、モノの実体感を喪失させ、別の有り様を現前させていくことにあります。それは、日常的な意味に充足しきれない<中途半端>なモノの有り様として現れ、何が映っているのか理知的に認知しがたいかもしれません。それ故、延々と焦点を探し続けるオートフォーカスカメラのように、私たちは眼でまさぐり触れていくような感じで、それに向き合わざるをえない。このまさぐり触れていくような経験は、イメージを意味文脈に沿って解読することから程遠く、自分の感覚に共振してくるような色彩、光の有り様に正に<没入>していくことだと考えます。私はこの経験に<感覚としての写真>の可能性を考えることとなるわけです。
-大島成己

※全文提供: ギャラリーノマル

最終更新 2009年 10月 31日
 

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