| EN |

細谷俊一郎展 反ユークリッド主義IX
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2020年 1月 27日

出品作品より。ドローイング(紙にペン)

なぜ美なのか? II

人間の生殖と生存の本能は「力」を生み出し、その「力」は人間社会の隅々まで行きわたり、いまや人間を完全に支配している。核兵器、生命工学、情報技術・・・しかし、やがてその「力」が人間自らを滅ぼすであろう・・・
そのように考える細谷俊一郎は、「力」の対極に、「美」を置きます。

彼は自らの美の創作原理を「反ユークリッド主義」と名付けています。ここで「ユークリッド主義」とは、特定の幾何学原理というよりも、現実の物理的世界を説明し、制御する近代主義的な思考、方法、その全般を象徴しています。彼のドローイングには直線、曲線、そして無数の点が存在しますが、それらは私たちの慣れ親しんだ空間や形態の把握、遠近の感覚などを示すものではなく、むしろ絶対的な「美」に迫ろうとする彼の形而上学的な思考が、現実の二次元空間に残した軌跡と考えた方がいいでしょう。語り得ないものを語るために極限まで切り詰められたその行為こそが、人間にとって至上の価値である「美」への接近であると彼は信じているのです。

http://galleryk.la.coocan.jp/

全文提供:Gallery K


会期:2020年2月3日(月) 〜 2020年2月8日(土)
時間:11:30〜19:00 土曜日〜17:00
休日:日曜日
会場:Gallery K

最終更新 2020年 2月 03日
 

関連情報


| EN |