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土屋仁応:夢をたべる獏が夢みる夢
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 10月 14日

≪人魚≫2009年|19.5 x 37 x 12cm|檜、水晶、彩色|画像提供:メグミオギタギャラリー copy right(c) Yoshimasa TSUCHIYA

土屋仁応は1977年神奈川県で生まれ、東京芸術大学彫刻科で木彫を学んだ後、同大学院にて文化財保存学を専攻し古典彫刻を研究し、2007年同大学院文化財保存学彫刻博士課程を修了しました。土屋は伝統的な仏像彫刻の技術を礎にし、檜に水晶の玉眼を施した木彫作品を制作しています。神話や伝説上の架空のいきものたちの姿をモチーフに、非現実の世界を表現する彼の彫刻は現実の世界とは異なる世界の存在を体現する仏像からの影響を受けているようです。

今回のメグミオギタギャラリーでは、「夢」をテーマにした展覧会を行います。

展示される作品たちは、眠っていたり、うとうとしていたり、もの思いに耽った姿で、それぞれに「夢」をみています。またこの展示全体も、作者の「夢」をもとにしています。夢として頭の中に思いえがかれたことが、作品という手段で、頭のなかから現実の世界に姿を表します。それらの作品は、繊細に彫られ着彩されることで木の美しさはひきたてられ、夢のはかなさや現実の世界にはない神々しさをかねそなえて存在します。今展では表裏一体のシンボル人魚、理性に制御されない無意識のシンボル一角獣などのイメージを土屋独特の形で現実の世界に姿を与えます。

※全文提供: メグミオギタギャラリー

最終更新 2009年 11月 10日
 

編集部ノート    執筆:小金沢智


ギャラリーのドアの小さい窓から、中の小さい動物と目が合った、ような気がする。展示されているのは、獏や羊といった実在する動物から一角獣やユニコーンといった空想の生きものである。いずれもサイズとしてはそれほど大きくなく、大きくとも両手で抱えられるほどだ。それゆえ、それらの白を基調にした透明感のある滑らかな肌の質感が思い起こすのは、赤子のそれだ。赤子がまだ〈こちらの世界〉に染まらずにいるように、土屋の今回の出品作品がいるのも〈こちらの世界〉ではなく〈あちらの世界〉のようである。神々しいのはそれゆえか。


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