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産業と美術のあいだで 印刷術が拓いた楽園
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2018年 3月 30日

前田藤四郎《時計》1932年 リノカット、銅凸版

  美術の表現は、美術の周辺からしばしば力を得ています。それは、私たちの生活の実用的な需要に応える産業であることも少なくありません。なかでも印刷術は、美術の表現にもっともよく影響を与えた産業技術のひとつと言えるでしょう。
日本は、おもに木版の技術により、古くから印刷文化を誇る国です。高度に洗練された浮世絵や書籍、身の回りの品々までが作られてきました。明治に入って、文字の印刷には活版が、図版の印刷には銅版、木口木版、石版の技術が西欧からもたらされて近代的な印刷産業が発展し、多様な技術による印刷物が発行されていきました。
  ひとりひとりの生活のなかにもたらされた印刷物は、新鮮な視覚体験をもたらし、また産業としての印刷の担い手たちのなかにも、実用的な需要に応えるあいだに、印刷技術のなかにある版の創造的な側面に着目する人が現れました。
  そして複製を前提とした挿絵などの制作にとどまらず、印刷術を創作の技法に展開させた版画が広く関心を集めました。油彩画などの画面のなかにも印刷物が描かれ、あるいは貼られ、一般的な絵画のイメージとして統一された絵画空間に異質なものを加えることで、作品の印象を変える効果をあげています。
  本展では、印刷術という一つの産業が、いかに私たちの美術の表現を豊かな、新鮮なものにしてきたかを印刷資料、版画、絵画などを通してご覧いただきます。現在の技術が、美術に与える新しい美術表現を予期しながら、日常に寄り添い、日常を超えていく創造の持つ力を感じ取っていただければと思います。

【関連事業】
■フロアレクチャー(学芸員による展示解説)
【日時】4月29日(日・祝)、5月5日(土・祝)、5月26日(土)、6月23日(土)
いずれも14時〜 (展示室にて、要観覧券)

■こども美術館部 (小学生対象の作品鑑賞会)
【日時】4月28日(土)14時〜 ※開始時間までに要参加登録、参加無料(同伴される保護者は要観覧券)

http://momaw.jp/

全文提供:和歌山県立近代美術館


会期:2018年4月14日(土) 〜 2018年6月24日(日)
時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始、展示替え期間。
会場:和歌山県立近代美術館

最終更新 2018年 4月 23日
 

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