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藤井保:BIRD SONG
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 10月 11日

画像提供:MA2 Gallery copyright(c) Tamotsu FUJII

MA2 Galleryでは3年ぶりになる藤井保(1949年生まれ)の個展。

日本人というアイデンティティーを根底に強く持ち、被写体に深く対峙しながら、独自の光や空気感で対象を焼き付ける写真を撮ってきた藤井保。今回の展覧会では藤井が2006年から4年間かけて渡り鳥を追った「BIRD SONG」をご紹介いたします。

このシリーズは北海道、宮城県、山形県、新潟県の湿原や湖など日本各地で、自然と一体になり多くの時間をかけながら撮影されました。渡り鳥や、彼らが飛び立った後の風景は、まるで抽象画のようで神聖な光をたたえて厳かです。渡り鳥は古くより場所を移動するのみならず、時間をも越える遥かな存在としてみられてきました。自然やモノを崇め、そこに神聖性をみてきた人間の営為が藤井の姿勢と重なります。約150本ものフィルム、またエコ・プロダクツのカメラ「写るんです」で撮影された渡り鳥の景色から新作、未発表作を含めた藤井保の「BIRD SONG」の世界をご覧ください。

全文提供: MA2 Gallery

最終更新 2009年 11月 06日
 

編集部ノート    執筆:小金沢智


カメラとは一瞬を切り取る機械である。一秒先には別のものに変貌してしまうかもしれない現実を、〈その一瞬〉のまま切り取るのがカメラだということを、藤井保の《BIRD SONG》は改めて私たちに教えてくれる。 会場に展示されているのは、藤井が2006年から四年間に渡り撮影した渡り鳥の写真だ。編成を組んで飛行する渡り鳥の写真は、次の一瞬には崩れ去ってしまうかもしれないと思わせる、一瞬の美しさがある。と言っても、渡り鳥が写っていない写真もある。あるいはそれは渡り鳥が去った風景なのかもしれない。外光が目一杯入る二階窓ガラス付近の壁面には、あたかもこれから渡り鳥が外に向かい飛び立つがごとき構図の写真が選ばれ展示されていた。写真はある一瞬を切り取るが、その後の時間を私たちに想像させる自由を許してくれる。


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