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アキバタマビ21 第60回展覧会「光る知覚 --Touching the Light--」
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2017年 4月 22日

フライヤー

【展覧会内容】

光なくして、人はものをみることができません。それゆえ、人は光を創り出し、闇を照ら すことで文明を発展させてきました。私たちの身の周りには、太陽などの自然光から、ろ うそくや LED などの人工光まで、さまざまな種類の光が存在しています。このような視覚 を生み出す光は、美術においてもきわめて重要な要素として扱われてきましたが、20 世紀 になるとダン・フレイヴィンやジェームズ・タレル、オラファー・エリアソンなどの作品にみられるように、作品の素材としても重要な役割を担うようになりました。

光は網膜に到達すると視神経によって情報となり、脳に届くと視覚となります。また人がものをみる時には、光の明るさだけではなく、その質も知覚しています。つまり視覚とは 網膜が光に触れることによって触感を得るシステムであると言えます。この触感としての 光は、人の感性に直接的な影響を与え、個々人の心の内に豊かな広がりを持って立ち現れ ているはずです。

昨今、白熱電球などへの規制に対する関心が高まっています。20 世紀末に発光効率が良い 新しい光源、LED が実用化されてから、環境問題への意識の高まりとともに、慣れ親しんだ白熱電球や蛍光灯の生産は世界的に縮小をはじめました。日本では政府がメーカーに対して自主的な生産中止を要請したことで、現在では多くの大手メーカーが家庭用白熱電球 の製造を終了しています。2011年の福島原発事故後は、より緊急の課題となった省エネ対策のために一層強い働きかけがなされました。その影響が、いよいよ身の回りの光環境の変化として現れてきました。

エネルギーやそれに伴う環境問題は世界的課題のひとつです。しかし、照明のエッセンスは消費電力だけではありません。ひとつの面だけをみて照明のもつ多様な役割を奪うことは、照明による表現の可能性をも喪失させる危険性を孕んでいます。本展では、鈴木泰人、 星田大輔、村上郁、渡辺望の 4名のアーティストが、それぞれ異なるアプローチを通して照明の光を提示します。彼らが表す光はどのような質感を持って私たちの心に触れるのでしょうか。現代における人々と照明との関わりを見直すと同時に、美術作品としての照明のありかたについて、作品とともにトークやパフォーマンスイベントを交えて検証します。


【出品作家】

◯ 鈴木 泰人 SUZUKI Yasuhito

1979年生まれ、神奈川県在住。
2011 年 多摩美術大学美術研究科 修了
主な展示に、2013年「新津美術館個展」(新潟)、2015 年「水と土の芸術祭市民プロジェク ト小須戸 ART プロジェクト」(新潟)、「トランスアーツトーキョー」(東京)、個展 (東京)、 2016 年「フルマチ アート・イン・レジデンス」(新潟)など。

白熱灯と自然光のふたつの光源を用い、絵画を反射光と透過光に晒すことで、見えかたが 変化する画面を観客の前に提示する。ときに自然の時間経過により、ときに人為的に、画 面は変化させられる。作家によると、白熱灯の光は太陽光に限りなく近い人工の光だと言 い、人間の自然な感覚や情動を呼び起こすものして利用しているのだという。
http://www11.plala.or.jp/york/


◯ 星田 大輔 HOSHIDA Daisuke

神奈川県生まれ。
2010年 和光大学表現学部芸術学科 卒業
主な展示に、2015年・2013年「中之条ビエンナーレ」(群馬)、2015年「黒川地域アート プロジェクト サトヤマアートサンポ」(神奈川)、2014 年「太郎かアリス vol.5」(TURNER GALLERY、東京)、2013年「これっきりエンナーレ」(東京)など。

自然に対峙した際の人の意識や記憶への関心に基づき、映像や照明によって単純化した自然現象を出現させる作品を制作。近年は照明とアートや文化との関係を考える WEBサイト 「光の話」を運営。
http://daisukehoshida.com


◯ 村上 郁 MURAKAMI Kaoru

東京都生まれ。
2004 年 多摩美術大学美術学部版画学科 卒業
2008年 Central Saint Martins Collage of Art and Design, BA Fine Art卒業
主な展示に、2015 年「中之条ビエンナーレ 2015」(群馬)、2014 年「プロジェクト 6581」 (シンガポール)、2012 年「Unknown Life」(東京)、2010 年「TAMA VIVANT II」(東 京)、2008 年「群馬青年ビエンナーレ」(群馬県立美術館、群馬)など。

古い絵葉書や写真と単純な自然現象を用いて、他者の記憶の再現可能性と不可能性が出現 する作品を制作。近年は観るものと観られるものの心理的力学への関心を出発点とし、他者の記憶を詩的に解釈し、構造的に再現することを試みている。
http://www.kaorumurakami.info/


◯ 渡辺 望 WATANABE Nozomi

神奈川県生まれ。
2009 年 多摩美術大学大学院美術研究科 修了
2016 年 University for the Creative Arts, MA Fine Art 修了
主な展示に、2016年「PARALLAX」(The Brewery Tap Gallery、イギリス)、「Cheriton Light Festival」(イギリス)、2014年「間と間の間」(NADiff a/p/a/r/t・NADiff contemporary、 東京)、2011年「所沢ビエンナーレ引込線 2011」(埼玉)など。

インスタレーション、映像、写真、書籍などを用い日常の微かな痕跡に注目し、それを巧 妙に引き出すことで繊細で詩的な作品へと変容させる。またその作品はしばしば周囲の環境や天体について言及しており、作品を介して鑑賞者は自分の置かれた場所について考えを巡らすことになる。
http://watanabenozomi.com/


【展覧会詳細】
「光る知覚 —Touching the Light—」 “Touching the Light”
2017 年 4 月 29 日(土・祝)~6 月 4 日(日)
開館時間 12:00~19:00(金・土は 20:00 まで)、火曜休場
特設サイト:hikaruchikaku.com


【イベント】
● オープニングパーティ&トーク
4 月 29 日(土・祝)17:00~
株式会社灯工舎の灯工頭で美術照明家・光文化研究家の藤原工さんをお迎えして、クロストークを行います。

●クロージングトーク&パフォーマンス
6 月 3 日(土)15:00〜
参加作家のグループとスペシャルゲストをお迎えして、今夜かぎりの特別な音と光のパフォーマンスを行います。その後、中野仁詞氏(神奈川芸術文化財団学芸員)と共に、クロストークを行います。
パフォーマー:市川平|金刺わたる|久世孝臣|鈴木泰人|丸山勝之


【会場】
アキバタマビ21
〒101-0021 東京都千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 201・202
電話:03-5812-4558
URL:http://www.akibatamabi21.com
アクセス:東京メトロ銀座線末広町駅4番出口より徒歩1分
東京メトロ千代田線湯島駅6番出口より徒歩3分
都営大江戸線上野御徒町駅A1番出口より徒歩6分
JR御徒町駅南口より徒歩7分
JR秋葉原駅電気街口より徒歩8分

「アキバタマビ21」は多摩美術大学が運営する、若い芸術家たちのための作品発表の場である。ここは若い芸術家たちが、互いに切磋琢磨しながら協働し共生することを体験する場であり、他者と触れ合うことで自我の殻から脱皮し、既存のシステムや権威に依存することなく自らをプロデュースし自立していくための、鍛錬の場でもある――そうありたいという希望を託して若い芸術家たちにゆだねる、あり得るかもしれない「可能性」の場であり、その可能性を目撃していただく場所である。

http://www.akibatamabi21.com

全文提供:アキバタマビ21


会期:2017年4月29日(土) 〜 2017年6月4日(日)
時間:12:00~19:00(金・土は 20:00 まで)
休日:火曜日
会場:アキバタマビ21 第60回展覧会「光る知覚 --Touching the Light--」

最終更新 2017年 4月 29日
 

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