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河野愛:うたかたの家
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 10月 02日

画像提供:INAXギャラリー2 copyright(c) Ai KAWANO

河野愛の作品は、アンティークのドールハウスを接写撮影した写真を、布に拡大プリントした後、高さ150 cm奥行き400 cmの家型に仕立てたインスタレーションです。作品は天井から吊り下げられ、大きなテントが宙に浮かんでいるように見えます。私たちはそのドールハウスを実際の家のように訪問し、その中へ入ることができます。 ドールハウスは、もともと子供の玩具や邸宅を建てた時のミニチュア、家具や不動産販売の見本として生まれ、その独特の「小さきもの」としての存在が愛されてきました。河野の作品からは、掌中で愛でる対象が体感できるほど大きくなったことで、様々な要素が新たにクローズアップされています。壁の写真、マントルピース上の置物、椅子やテーブルの乱れに、そこで営まれていた生活や家族関係が、息を吹き返して、立ち上ってくるような生々しさに襲われます。 河野は美術大学で染織を専攻し、これまで古いポストカードによるファミリーツリー、黒板にチョークで家を書いた作品、無数の人形の頭部が袋の口から覗いているオブジェなど、「家」や「家族」をモチーフにした作品を制作してきました。河野の「家」には「幼少の記憶」=「楽園」という連想があります。河野にとってアンティークの家や家具は、暖かく楽しい過去を「見届けた」オブジェクトとして存在し、また、布や陶や「古いものの粉っぽい触感」も、思い出を触発する要素として大切にしています。 今展では、新作「brick wall」も合わせて展示予定です。「brick wall」は、古いポストカードの人物写真を布にプリントし、キルトのように中に綿を詰めて、長さ400 cmのレンガを積んだ壁のように仕立てた作品です。今展は河野愛の初個展開催となります。「家」や「家族」、「時間」や「記憶」をモチーフにした作品をご覧ください。

河野愛プロフィール
1980 滋賀県生まれ
2004 京都市立芸術大学美術学部染織専攻卒業
2004 京都市立芸術大学美術研究科染織入学
2004 ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(英国・ロンドン)ファインアート科プリントメイキング専攻交換留学
2005 ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(英国・ロンドン)ファインアート科プリントメイキング専攻PEP研修生修了
2007 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程修了
現在(株)電通関西支社クリエーティブ局にアートディレクターとして勤務
受賞歴:
2001 キャノン・デジタル・クリエイターズ・コンテストデジタル・フォト部門入賞スパイラル青山/東京ほか
2004 京都市立芸術大学制作展市長賞京都市立美術館/京都
2007 京都市立芸術大学制作展奨励賞京都市立芸術大学小ギャラリー/京都
2007 アミューズアートジャム2007 後藤繁雄京都文化博物館/京都

全文提供: INAXギャラリー2

最終更新 2009年 10月 01日
 

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