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T・J・ウィルコックス:T.J.Wilcox
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2009年 10月 02日

画像提供:ヒロミヨシイ copy right(c) T.J.Wilcox

T・J・ウィルコックスは、1965年西海岸のシアトルで生まれました。彼は、ニューヨークのスクール・オブ・ヴィジュアル・アーツ(the School of Visual Arts)で絵画とドローイングを学んだ後、カリフォルニアに移り、パサデナのデザイン・アート・センター・カレッジ(Art Center College of Design)の大学院で、フィルムを用いた映像作品を手掛けるようになりました。「イメージと情報の多重のレイヤーからなる動画を作ることに興味を抱いた」彼は、「それを可能にすると同時に、イメージと情報に固有のはかなさを保持するフィルムの能力に魅惑された」と言っています。 ウィルコックスは、当時、ロサンジェルスの映画産業に出会ってショックを受けましたが、そうした製作の仕方とは異なるアーティスト個人によるフィルム作りを模索しました。そこから、学校を卒業後に発表された最初の作品、マリー・アントワネットを題材にしたフィルムが生まれました。彼が、アーティストとしてのキャリアを踏みだした1990年代は、映像とりわけヴィデオ・アートの隆盛が目立った時代でした。しかし、ヴィデオのイメージの粗雑さを嫌った彼は、同じ映像でもフィルムというメディアを表現手段として選び取ったのです。「絵画から動画にアプローチした者として、フィルムのもつ高い解像度や美しい色彩の可能性に惹かれた。」と、彼は述べています。 では、ウィルコックスは、フィルムを通して何に焦点を合わせようとしているのでしょうか。膨大な情報や視覚的刺激にさらされている現代生活のなかで、私たちは、それらにフィルターをかけ、わずかな部分を保存し記憶しています。これに彼は関心を向け、表現にもたらしているのです。日本で初めての紹介となる今回の個展では、過去10年にわたる制作を一望できる作品が呈示されます。コラージュから映像まで、さまざまな形式のイメージに残された痕跡をたどりながら、ウィルコックスの作品をご堪能ください。 T.J. Wilcox
1965年シアトル生まれ。ニューヨーク在住。主な個展にニューヨーク近代美術館、ラディック美術館(ケルン)、テート・モダン(ロンドン)、メトロ・ピクチャーズ(ニューヨーク)、セイディー・コール(ロンドン)、ラファエラ・コルテス(ミラノ)など。主なグループ展として、ニューヨーク近代美術館、コントゥア・ビエンナーレ2009(ベルギー)、ミラノ市立近代美術館、国立ソフィア王妃芸術センター(マドリッド)、ウィットニー美術館(ニューヨーク)、PS1(ニューヨーク)など多数。 ※全文提供: ヒロミヨシイ

最終更新 2009年 10月 10日
 

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