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松浦澄江展 島の光と影 - 東京2016
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2016年 10月 14日

Water Environment series

Date:
2016.10.17(月) - 27(木) 休館日無し
Location:
日仏会館ギャラリー
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿3-9-25
*10/22(土)17:00 ~ 18:30にレセプションパーティーを行います。どなたでもお気軽にお立ち寄りください。

そぎ落した表現のなかに残るものを探す旅
ー震災から5年後の「今」を確かめてー
銀箔・和紙・日本画絵具という伝統をまとったものと、LED・アクリル・ステンレス・コンピューター等の現代の素材とが出会う。
そこで起きる一つ一つの現象を丁寧にすくい上げる作品群。
文明と自然の矛盾が、歪んだ太陽を思わせる赤く透明な楕円の中に凝縮する。

これらの作品は2011年の日本の大震災を主題に制作されたものです。コンピューターでコントロールされたLEDのfade-inとfade-outが、生きている証の呼吸のリズムで動き、「国」もまた「生命」を持っていることを表します。その主題は大自然への畏敬を忘れた人間や現代文明への批判ですが、全体を覆うごく薄い和紙によって自然の空気のように静かな雰囲気を醸しだしています。これらは、上記の3要素ーこの場合、日本の伝統的画材・現代美術のメカニカルな表現・今日的なテーマによって構成されています。進歩とは何かという愚意が、東洋と西洋の対比、現代性と伝統性の対比で深められているのです。
私のほとんどの作品は、空間の在り方と人間の心理にかかわっているため、動きながら見られることを望みます。そして、その自身の視線が作品を作り続け、その時間が人と作品を活性化します。最終的に私の関心は、作品を見る人々が個人的経験や感覚を重ね合わせ、どのように作品を感じ取り評価するかにあります。

現在の仕事は自身の「線」を見つけたことから始まりました。これは完全にオリジナルなもので、銀箔を始めとする日本の伝統的画材でなければ作り出せない線です。この揺らぐ線は、自然と人工、偶然と必然、永遠と途絶、といったように相反するものを含んでいます。そして銀箔の反射や、光そのものの作用と共に、空間を把握する一助となっています。その線を自由に使いながらの私の制作は動機は、日本の伝統的な文化に対する関心と、ヨーロッパ起源の現代までの美術ーその思想及び表現ーへの検討と、現代の人間を取り巻く環境への問いかけとの三つにあり、それらがミックスされながら、その時々でいずれかが表現の軸となっています。そして最終的には私の美意識が全体を支配しているのです。
松浦 澄江「作品と鑑賞者」より抜粋

http://sumie-matsuura.com

全文提供:望月 瞳


会期:2016年10月17日(月) 〜 2016年10月27日(木)
時間:11:00 - 18:30
休日:無休
会場:日仏会館ギャラリー(東京都渋谷区恵比寿3-9-25)

最終更新 2016年 10月 17日
 

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