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「博多祇園山笠男絵図」
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2016年 7月 23日

「博多祇園山笠男絵図」Oil and pensil on canvas mounted on panel / 27.3 x 16 cm / 2015 © Shinji Ihara

この度、7月29日(金)から8月20日(土)まで当画廊におきまして井原信次による個展「博多祇園山笠男絵図」を開催する運びとなりました。

親しい友人や愛する人、また他者との関係性の中に存在する自己をやさしく見つめ、主に男性像を描いた作品で注目されてきている井原信次。
その作品には、鑑賞者の胸に食い入り、孤独で深遠なる世界を紡ぎ出し、人間の内面に蠢く何かに向き合わせる魅力があります。

matchbacoでの2度目の個展となる本展では、作家の故郷である福岡の祭「博多祇園山笠」を題材にした《MATSURI》シリーズの新作を発表します。
《MATSURI》シリーズは、きらびやかな祭りの裏にある儚さや、伝統と歴史の深さに魅了され、それを機に2010年頃から継続的に取材しながら制作を続けて来ました。
あるはずの風景や観衆は背景から削ぎ落とされる一方で、それぞれの人物像は克明に描かれています。それらの絵画空間は何処か非現実的で、時が止まったような作家の心象風景を表しています。
「自分の故郷を顧みる事で、原風景と記憶を思い起こし、それが新しい制作イメージへと繋がっている」と語る井原は、誰にも気づかれないような視線を、見知らぬ男衆の姿に注ぎ、その場の臨場感や肉体の躍動感を軽やかに表現しています。
また今回の新作では新しい表現方法への展開もはかっています。 カンバスの目を生かしながら薄く何層にも重ねられた油絵具の淡い色彩によって、法被に締込み姿の勇壮な男衆の一瞬を捉えたこれらの作品には、その場の空気や郷愁がにじみ出て来るような存在感があります。
井原の身体の中に積層された祭りという幻想への思いが限られた彩色と空間に込められ、そこから生まれてくる奥行きは、鮮やかな印象を持続させながら、鑑賞者の胸に迫って来るようです。
変化し続ける現代社会の中でも変わらず底流を流れている、土着の崇高なる精神性や人間の大らかで逞しい美しさをご覧いただけるでしょう。

井原信次 いはら・しんじ
1987年 福岡県出身
2010年 広島市立大学芸術学部美術学科油絵専攻卒業
2012年 東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画技法・材料研究室修了

主な個展
「RENDEZVOUS」(matchbaco / 東京 / 2015)
「誰も見ていないから」(ギャラリーアートもりもと / 東京 / 2013)

主なグループ展
「LOIVE」(matchbaco / 東京 / 2016)
「IMAGO MUNDI」ベネトンコレクション企画展(PRATT INSTITUTE THE RUBELLE AND NORMAN SCHFLER GALLERY / ニューヨーク / 2016)(Fondazione Querini Stampalia / ベネツィア / 2013)
「光の肖像」展(JMSアステールプラザ / 広島 / 2015)
「第9回前田寛治大賞展」(日本橋高島屋 / 東京、倉吉博物館 / 鳥取 / 2014)
「京都アートフェア」(京都市勧業館 / 京都 / 2014)
「 Next Art 」展(朝日新聞東京本社本館・松屋銀座 / 東京 / 2012)

主な受賞
2010年「第13回広島市立大学卒業・修了制作 展」野田賞

収蔵
広島市立大学芸術資料館
ルチアーノ・ベネトンコレクション

http://matchbaco.net

全文提供:matchbaco


会期:2016年7月29日(金) 〜 2016年8月20日(土)
時間:13:00 - 21:00
休日:月曜日・日曜日
会場:matchbaco

最終更新 2016年 7月 29日
 

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