山本浩生:ほつれる髪の毛が糸 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 9月 21日 |
山本浩生はその創作活動において幅広いジャンル、テーマ、形態を求めて制作を続ける知的好奇心旺盛なアーティストです。具象とも抽象とも取れる形体、日常と非日常との境界。曖昧なものを曖昧なままに提示し、時にはぐらかし、相対する概念を対峙させることによって、特定の価値観を保持し、特定の回答を示す事に慣れた私達の既成概念に小さな波紋を生じさせます。その混沌へと招き入れられた私達が思うのは、既成の概念から解き放たれた心地よさでしょうか、それとも新たなものに対する恐れや混乱でしょうか。その“言葉遊び” 的な性格も感じさせる山本の表現を、“絵遊び” とでも名づけ、何処に漂着するのか分からない彼の世界に身をゆだね、漂流してみるのも一興ではないでしょうか。 私は、写真や絵(ドローイング)、木材、地図など様々な媒体を使い、主に「境界」ということをテーマに作品を制作しています。その「境界」は、たとえば日常と非日常の境であったり、抽象と具象の境目であったりもします。普段自明のものとして確立していた概念が、対立する概念にぶつかったり、今一度その概念<以前>の状態に戻ったとき、危険なものにもなりうるかもしれないといった不安や恐怖と同時に、新しい<何ものか>を発見する期待が、うずまきます。その不安と恐怖、そして期待のドキドキ感。それはある種恋にも似ているかもしれない。それを僕はあえて「エロティシズム」と呼んでみたい。 略歴 全文提供: Nroom artspace |
最終更新 2009年 9月 05日 |