| EN |

上出惠悟「熊居樹孔」
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2016年 6月 16日

蛮絵熊印

この度、Yoshimi Artsは上出惠悟の個展「熊居樹孔」(ゆうきょじゅこう)を開催致します。

日本の伝統工芸は様々な問題を抱えています。生活スタイルの変容、工業製品の台頭などによる需要の低迷に伴った職人の減少は、道具や原料を作る業者にまで及び、今や伝統工芸は産業として衰退の一路を辿っていると言わざるを得ません。石川の伝統工芸である九谷焼においても、例外ではありません。
九谷焼の窯元で130年の歴史がある上出長右衛門窯の六代目に当たる上出惠悟は、九谷焼の中でも少なくなっている磁器の成形、手仕事による絵付を一貫して制作する上出長右衛門窯の商品企画をし、世界的なデザイナーであるハイメ・アジョンとのコレボレーションを丸若屋と共に実現し、東京芸術大学の卒展で発表した磁器で制作された甘蕉から始まる上出惠悟としての作品を発表するなど、多領域にわたり活動してきました。
この度の個展では、去年名古屋の個展で突如として上出惠悟が興味を持ちだした「熊」を題材にした作品を、今年の3月に東京で開催した「KUTANI CONNEXION(九谷焼コネクション)」に引き続き、Yoshimi Artsで展示致します。
古来より人間と熊とは深く関わりあっており、胆嚢は生薬として、毛皮は衣服や敷物として、ある地方においては生きて行く為に欠かせない貴重な恵であることから、山の神として崇められ、そこから祭りや神話的な物語や逸話が生まれました。また、熊は愛らしく二足歩行する姿から木彫りで彫られたり、ぬいぐるみやキャラクターとしてアニメーションの主人公になったり、その存在は世界中で幅広く愛されてきました。その一方、かつては全域に生息していたにもかかわらず、有史以来熊に関する美術品は他の動物に比べ極端に少なく、熊との関わり合いの歴史を辿る事は、日本の歴史という観点から美術や工芸を読み解く一端となるかもしれません。
上出惠悟の熊に関する考察は幅広く、表現も多岐に亘っています。今、なぜ上出惠悟が熊に対して熱い関心を示しているかを探求したいと考えております。

http://www.yoshimiarts.com/exhibition/20160618-Keigo_Kamide-Bears_Live_In_The_Hollow.html

全文提供:Yoshimi Arts


会期:2016年6月18日(土) 〜 2016年7月10日(日)
時間:11:00-19:00
休日:火・水
会場:Yoshimi Arts

最終更新 2016年 6月 18日
 

関連情報


| EN |