山下和也:mirror image |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 9月 19日 |
古画の模写で培った技術や視点をもとに日本画における画題(仏画、山水花鳥など)を捉え直し作品を制作しています。近作では仏画の制作により、オリジナルや模写、そのあわいにある作品を制作し、個々になにかを関係させる事(あるいは見立てる事)で作品や空間、世界観が拡張できるように制作しています。 今回の展示では、3点の仏画と壁面のドローイングによるインスタレーションを行います。3点の仏画は平安時代の仏画の復元模写、その対になる作品として描かれた新たな仏画、そしてキジルの双頭仏から想を得た仏画を描きました。3点はそれぞれ単独の仏画として描かれながらも、併置される事で実は互いに関係性を持った仏画である事が見えてきます。太陽と月、死生観、模写とオリジナルとその間(あわい)にあるものなど、それぞれが連鎖的なイメージの交感により結びついています。 対面して壁に描かれるドローイングは宇宙の絵図です。これは天体の宇宙図ではなく宇宙観を図示した絵図です。現地にて短時間で描かれるドローイングは、ライブ感覚のある画面で、日本画の運筆を駆使しながら描き出されます。 それらはインスタレーションによって、互いをうつしあい、新たな宇宙観の場を生み出します。また仏画はそれ自体がスピリチュアルな図像ですから、心象をうつしだす鏡のような作用があります。展覧会名:mirror imageは作品同士や作品と鑑賞者の関係性を表すものとして名付けました。出会いはいつも一期一会です。壁面のドローイングは会期後に撤去されます。この空間に身を置きながら、静かに自らの内面と対話するようなひとときを過ごせて頂けたらと願っています。 山下和也 Yamashita Kazuya 全文提供: 山下和也 |
最終更新 2009年 9月 29日 |