Ren Jingの作品は、少年時代のイノセンスが、成長し、生きていく中で人生のリアリティにどう傷つけられ、汚染し、退廃していくか、そのプロセスを一瞬の光景の中に物語的に描き出そうとする試みです。どんな作家も一度はこの誘惑に駆られるものですが、この若い現代中国の作家ほどその光景を生々しく（つまりは誘惑的に）描けるとは限りません。

ひとつは資質に関わりますが、すでにその大部分を失ってしまったイノセンスにどれだけ執着しているか、言いかえればそれがどれだけ切実かです。Ren Jingの場合は、ほとんどオブセッションと言ってもいいほどイノセンスにこだわっています。

ふたつは、このことと表裏をなしていますが、イノセンスとその喪失をドラマとしてどれだけリアルに再構成できるかという想像力の豊かさに関わっています。この点でもRen Jingの作品は群を抜いています。 すでに中国内外で評価を高めつつある作家ですが、日本では初個展となり、作家の来日も予定しています。どうかご期待ください。

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