シルクスクリーンや染色を手掛けるアーティスト、芝田知佳が頭の片隅にあるイメージの断片を使い、ポップな平面作品を発表します。呼び戻した記憶、夢に出てきた不条理な状況、瞑想しようとして浮かんできた雑念。それらにからむイメージを、マンダラで仏菩薩たちを配置するかのように一つの画面に共存させ、世界観を表現しています。

例えば「消した落書きとエビまたはハコ1995-a」（2015年）は20年ぶりに呼び戻した記憶の産物です。阪神大震災の後、たつの市の小学生だった芝田は支援物資の一つとして古い教科書を被災地へと送りました。そのとき消しゴムで消した落書き（ゲームのキャラクターやアニメの登場人物、愛着のある日用品など）を思い出し、描き直したものが今回のモチーフの一部となりました。

他の作品でも、夢で繰り広げられた物語や、それをきっかけによみがえった記憶の中からモチーフを採集。今の彼女にとって安心できる空間をつくるかのように、画面上に再構成しています。ミクストメディアの平面を中心に十数点を出品。

芝田知佳（しばた・ちか）　1984年兵庫県生まれ。2007年女子美術大芸術学部卒、09年東京芸術大大学院美術研究科修了。13年橘画廊で個展「YY/MM/dd」、14年ART OSAKA 2014で個展「La Mer Hotel Ebi」。11～13年龍野アートプロジェクト（たつの市）、15年新長田アートプロジェクト（神戸市）に参加。

全文提供：橘画廊

会期：2015年7月7日(火)　〜 2015年7月25日(土)
時間：12:00-19:00
休日：日曜・月曜休
会場：橘画廊