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チェッコ・ボナノッテ「回想の劇場」展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2015年 9月 15日

チェッコ・ボナノッテ「能の劇場」(部分)/ 90×630cm / ミクストメディア

2012年第24回高松宮殿下世界文化賞彫刻部門を受賞し、国内でも広く知られるイタリアの現代彫刻家、チェッコ・ボナノッテ (1942− )の新作個展が東京・九段下のイタリア文化会館にて開催されます。

ヴァチカン美術館正面入口ブロンズ扉の制作をはじめ、偉大な足跡を残してきた世界的巨匠チェッコ・ ボナノッテ。日本とも縁が深く、奈良・薬師寺等日本各地での個展開催など定期的に来日するようになり40年以上が経ちます。東京にもアトリエを持ち、制作の合間には京都等各地を訪れ、日本文化への理解と造詣を深めてきました。  本展ではこれまで積み上げてきた日本文化へのオマージュを《俳句》《能》《怪談》という3部作で表現しました。彩色された板に日本人形の頭部を組み合わせるなど、過去のブロンズ彫刻からは一見異彩を放ちつつも、その背後にはボナノッテの一貫した美学、哲学が感じられます。それは、それぞれへの解釈――引き算によって無限の感情を生み出す俳句、生と死を象徴的に表現する能、現実と夢を往復する怪談――が、作家本来の表現と通底しており、響きあった結果なのです。  作家の日本文化への眼差しが単なる好奇心やオリエンタリズムをはるかに越え、制作哲学に大きな影響を与えていることを作品は物語ります。展覧会は最大9メートル幅の連作ミクストメディアを中心に構成いたします。是非ご高覧くださいませ。


「作品の前に立ってしばし目を凝らしていると、その精緻に重層化された平面からは、豊かな象徴性とともに、紛うことなきボナノッテ氏の彫刻世界が立ち上がってくる。(中略)《能NOH》に於いては、 モノトーンのコントラスト、隔離された顔とフレームとは、死と生、仮面と素顔とを象徴的に構造化した能舞台そのもののように、或いは、《怪談 KWAIDAN》に於いては、流れ落ちる赤い絵の具が直接に流血を想起させるだけでなく、その先端の複数化が空間内の人物の複数化を暗示し、 夜と昼とを、現実と夢とを、更には現在と過去とを絶えず往復させる。(中略)2015年10月7日からイタリア文化会館にて公開される本作を、日本で鑑賞できる贅沢を心から喜びたい。」

平野啓一郎(芥川賞受賞作家)
本展覧会図録所収「彫刻が日本の平面から立ち上がるとき」より抜粋


展覧会名:チェッコ・ボナノッテ「回想の劇場」展
会期:2015年10月7日(水) 〜 10月31日(土)
会場:イタリア文化会館エキジビションホール 東京都千代田区九段南2−1−30
電話:03−3264−6011
開館時間:11時〜18時 ※日曜休館、入場無料

主催:イタリア文化会館
特別協賛:久光製薬株式会社
協賛:株式会社アプロンワールド
企画協力:ヒロ画廊
後援:駐日イタリア大使館

http://www.hirogallery.com/exhibition-jp.html

全文提供:ヒロ画廊


会期:2015年10月7日(水) 〜 2015年10月31日(土)
時間:11:00 - 18:00
休日:日曜
会場:イタリア文化会館エキジビションホール

最終更新 2015年 10月 07日
 

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