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泉啓司:脇から滝
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 9月 10日

≪脇から滝≫2009年|h.175 x w.37 x d.33 cm|木(樟)、プラスチック、色鉛筆、アクリル|画像提供:ARATANIURANO copyright(c) Keiji IZUMI

泉啓司は、1973年神奈川県生まれ。東京造形大学で彫刻を学び、独特の世界を木彫作品で表現している若手作家です。ARATANIURANOでは、昨年11月に開催したグループ展及びマイアミのアートフェアで初めて泉の木彫作品を紹介し大好評を得ました。そして今回がいよいよARATANIURANOでの初の個展開催となります。

泉の作り出す人物像はどれも空想的でありながら、どこか親しみがあり、ユーモラスです。アフロ・ヘアーと火星人が合体した男、屁が爆発して怪物になったような若者、爆発した火山を冠ったような拳を握った男、空飛ぶ風船ヘアーをもった娘、髭と煙が繋がった老人、などなど、どれも思わず吹き出してしまいそうなユーモアと飛躍があり、同時に身近な誰かをつい連想してしまうような親しみと現実感があります。 制作行程も実にユニークです。まず初めに、下着を身に着けた半裸像を彫塑し、その上からパテで衣服を着せ、最後に色鉛筆を主に使用して着色します。洋服の皺、質感や、波、雲、煙など、形の定まらないモチーフを細部に至るまで丁寧に作り上げる、その表現力には目を見張るものがあります。このようなディテールへのこだわりと、空想的でユーモラスなモチーフとのバランスが、ある種の緊張感を生み出し、完成度の高い特異な彫刻作品を生み出しています。

「私という人格が様々な要素で形成されているように、作品にも様々な要素を取り入れたい」と泉が言うように、いずれの作品も、波、煙、雲、虹、などの自然や想像上の生き物と人体が混ざり合い、ひとつに合体しています。それは、私達を特徴づけている個性やコントロールできないような感情や感覚が、人を超えた世界の一部として具現化したようにも見え、また、ファンタジックに昇華された現代人の姿のようにも見えます。 泉のイマジネーションはきっと、見る者自身の想像力をも拡張してくれることでしょう。是非ご期待ください。

全文提供: ARATANIURANO

最終更新 2009年 9月 26日
 

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