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伊藤幸久:Gravity dolls
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2014年 9月 08日

伊藤幸久/「ヘルメスかタナトス」/2012/陶/H30x65x125cm

伊藤幸久は人形と彫刻、つまり迫真感と立体感の狭間を考察し、陶の人物像を制作する作家である。彩色や衣裳的形成による肉体擬装への疑念と像に込める塊の意識を強く持ち、独特の世界を生み出している。作品制作の主題は、自己の感情であり、その感情の一部を意識内で突き放し客観的に捉え物語として紡ぎ擬人化することである。素材にはテラコッタを使用しているが、その理由として漫画家・中村光の著作「荒川アンダーザブリッジ」の中のこんな台詞で気が付いたそうだ。「人間の心ってもんは重い上に割れもんだ」この台詞を目にした時、陶が不思議と肌に合う理由を確信したと云う。伊藤の作品は、人間の心を抽象し作品化したものである。言い換えれば“心のメタファー”である。そして心のメタファー(隠喩)である作品の素材として、心と同じ“重くて壊れやすい”という性質をもった陶で制作することは必然的であったという。これこそ伊藤幸久が陶の人物像を制作する大きな理由である。


全文提供:FUMA Contemporary Tokyo/BUNKYO ART
会期:2014年9月2日(火)~2014年9月20日(土)
時間:11:00 - 18:30
休日:日・月
会場:FUMA Contemporary Tokyo/BUNKYO ART
最終更新 2014年 9月 02日
 

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