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森万里子:フラットストーン
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 9月 02日

≪フラットストーン≫2007年|セラミック、アクリル樹脂|展示サイズ:487.5 x 314.6 x 8.8cm|Photo by Richard Learoyd| 画像提供:SCAI THE BATHHOUSE copy right(c) Mariko MORI

森万里子は90年代半ば国際的なアートシーンに登場。1997年に第47回ベニスビエンナーレで優秀賞を受賞して国際的な評価を確立し、現在に至るまでその活動は常に世界中から注目され続けています。2007年から2008年にかけては、海外の美術館で大規模な巡回展を開催。近年の活動を総括的に紹介した展覧会は、森万里子の作品スケールの壮大さを改めて感じさせ、大きな反響をよびおこしました。日本では今年の3月六本木ヒルズに、気温や雨風など自然現象によって色彩が変化する立体作品「プラントオパール」をパーマネントに設置。訪れる人々を楽しませています。

本展では、日本未発表の立体作品と絵画、ドローイングを展示します。今回メインとなる立体作品は、展覧会タイトルでもある「フラットストーン」。この作品は、冬至の日の出を祭る縄文時代の環状列石にインスパイアを得て制作されました。太古の人々にとって、冬至は日照時間が短く自然環境が最も衰退した状態であると同時に、この日を境に再生していくという一年の重要な節目として祭事が行われていたそうです。自然と共に生活していた古代の人々の価値観に共鳴し、森万里子は22個の白いセラミックのパーツを用いてこの儀式の場を再現し、自然や魂の転生・再生を表現。作品を通し、諸問題にあふれた現代社会において、新たな人間の生き方は再び自然と融合するであると示唆しています。このコンセプトは宇宙と地球上の物質の繋がりをテーマにした、ペインティングやドローイングにも共通しており、人間とは自然や宇宙の一部であるということを改めて感じさせられます。

スケールの大きな立体作品を制作している森万里子の中に秘められた、本質的なコンセプトや感性を強く感じさせる内容の展覧会です。

全文提供: SCAI THE BATHHOUSE

最終更新 2009年 9月 08日
 

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