| EN |

飯山由貴:あなたの本当の家を探しにいく/ ムーミン一家になって海の観音さまに会いにいく
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2014年 9月 05日

『ムーミン一家になって海の観音さまに会いにいく』2014, スライド, テキスト, 音声

waitingroomでは2014年9月13日(土)~10月19日(日)まで、飯山由貴 個展『あなたの本当の家を探しにいく/ムーミン一家になって海の観音さまに会いにいく』を開催いたします。waitingroomでは初の個展となる飯山は、2013年に東京藝術大学大学院美術研究科油画科を修了した、若手アーティストです。本展では、飯山の家族の1人が持つ幻聴、幻覚を、家族で再現する試みの記録映像作品、精神病院の医療記録についての映像作品、その他ドローイングや記録資料などをインスタレーション形式で展示します。

家族の1人が持つ幻聴や幻覚を出発点に、精神にまつわる様々なエピソードを探る
近年、匿名のスクラップブックを題材に、ハンセン病や関東大震災など歴史的史実を主題として取り扱うことが多かった飯山だが、今回は自身の家族の1人(妹)が持つ幻聴や幻覚がテーマの出発点となっています。個人的な体験をもとに、精神病の歴史や周辺の様々な事例をリサーチして行く中で、汲み上げられていくドキュメンタリーと、作家自身が見る世界の交差点を表現します。そもそも私たちの日常と、こういった問題をもつ人々の日常には、劇的な違いはないのかもしれないということに、ふと気づかされるかもしれません。展示全体としては、「本当の家を探しに夜の散歩に出かける」映像作品、妹が見ている「ムーミン一家と一緒に海の観音さまに会いにいく」という幻覚を家族6人で再現するスライド作品とそれにまつわるテキスト・音声、かつて東京にあった精神病院の医療記録(患者たちの症例誌)についての映像作品、1926年に日本で作られた無声映画を複数の視点から考える小さなプロジェクトの4作品を核に、作家がききとりした幻聴や幻覚のメモ、実際にやり取りされた手紙、ワークショップの記録などのドキュメントを共に展示致します。

できることできないことが人それぞれある、そしてそれを互いに補うこともできる
「幻聴や幻覚をもつ家族が具合が悪くなったとき、わたしたち家族は多少うんざりしつつ、戸惑いつつ、落ち着くのを待つ。彼女はどうしてこうなるのか考える、さっきの会話が気に障ったんだろうかと。 それもあるのかもしれないが、傍目には何もなくても具合が悪くなる時もある。よくわからない。彼女はあの有名なアーティストのように自分に見えるものを絵画にしたりはできない。『アウトサイダー・アート』とよばれる芸術の展覧会が開かれていたりするけれど、精神に障害(この言葉はあまりつかいたくないが)を持つ人が、幻覚や幻聴を「表現」できること自体がもしかしたら希有なことで、表現の仕方もうまく見つからないまま、投薬し生活している人のほうが大多数なのかもしれない。 私自身は大学で絵を描いたり造形する人に囲まれて生活していたから、感覚が麻痺していたんだと思う。だれでも何かしら作ったりできると思いこんでいたが、そうでもなくて、できることできないことが人それぞれあると、妹と数年ぶりに一緒に暮らしてみて気づく。そして、それを互いに補うことができることも。(飯山由貴・「あなたの本当の家を探しにいく」テキストより)」

写真や映像、実際の記録やそれにまつわるテキスト・オブジェなどを通して、一つの主題を多角的に考察していく中で創作される、作家独自の視点のレイヤーが重なりあったインスタレーション空間を、是非体感しにいらして下さい。

[作家プロフィール]
1988 神奈川県生まれ
2011 女子美術大学芸術学部絵画学科洋画専攻卒業
2013 東京藝術大学大学院美術研究科油画修了

個展
2014 『あなたの本当の家を探しにいく/ムーミン一家になって海の観音さまに会いにいく』, waitingroom, 東京
2013 『湯気 けむり 恩賜』, 実家 JIKKA, 東京
2011 『installation plan』, ginza gallery jyoshibi, 東京

グループ展
2014 『identity X』, nca l nichido contemporary art, 東京
『First Attacks!』, Space Wunderkammer, 東京
2013 『テント村』, art & river bank, 東京
『28zaki 海浜博覧祭』, 旧玉ノ井旅館, 福岡
『有志展 Pre Show Toride 2013』, 東京藝術大学取手校地, 茨城
2012 『ワタラセアートプロジェクト2012 PARADE』, 日光市足尾町など, 栃木
『RinnePlatz』, Gallery Conceal, 東京
『戦車の中を想像する』, 藝祭 東京藝術大学, 東京
『群馬青年ビエンナーレ2012』, 群馬県立近代美術館, 群馬
『地獄の品格 ゲルセミウム・エレガンス』, 東京藝術大学, 東京
2011 『GTS 隅田川新名所物語2011』, 隅田公園リバーサイドギャラリー, 東京
『作品は、ここにあった 現代アートの考古学』, ginza gallery jyoshibi, 東京
『アートアワードトーキョー丸の内2011』, 行幸地下ギャラリー, 東京
『女子美スタイル☆最前線2011』, BankArt Studio NYK, 神奈川

パフォーマンス
2013 『voices textile』, Le Tabou, 東京

オープニングレセプション:9月13日(土)18:00-21:00


全文提供:ウェイティングルーム
会期:2014年9月13日(土)~2014年10月19日(日)
時間:月曜 17:00 ~ 23:00 / 金・土・日曜 13:00 ~ 19:00
休日:火曜~木曜
会場:ウェイティングルーム
最終更新 2014年 9月 13日
 

関連情報


| EN |