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アルバート・サムレス(アメリカ)とゴル・スーダン(ケニア)による新作展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2014年 6月 27日

[左] アルバート・サムレス/「継続的な漂流」/2012/<ロバート・スミッソンの『スパイラル・ジェティ』付近で、発煙弾を使って描いたグラフィティ>(参考作品)| [右] ゴル・スーダン/「ドローイング・イン・スペース」/2014/プロテスト・ワイヤー(一部本展展示作品)

わたくしども山本現代では、来る2014年7月12日から7月26日まで、NPO法人アーツイニシアティブトウキョウ[AIT/エイト] 主催による「The BAR(The Backers Foundation and AIT Residence Programme)vol. 7 アルバート・サムレス(アメリカ)とゴル・スーダン(ケニア)による新作展」を開催いたしますので、ご案内申し上げます。本プログラムは、ビジネスの専門家の集まりであり「バッカーズ・ファンデーション」と、数々の現代アートの事業を手がけるAITが共同で作家選定から展覧会づくりまでを行う、ユニークなアーティスト・イン・レジデンスです。

アメリカ在住で、カンボジア出身の両親を持つアルバート・サムレスは、「シンガポール・ビエンナーレ2013」など、名立たる国際展に参加経験を持つ気鋭のアーティストです。これまでに、海流の影響で時間と共に素材が変化する『太平洋の水彩画』や、世界の多くの空港で流れるアナウンスを担当し、地球上で最も聴かれている声の一つでありながら実体を想像し難かった人物が、人間の存在の限界を問う詩を朗読する『ザ・ボイス』など、人々の認識の曖昧さや不確かさに着目した作品を制作しています。本展では、雨によって生成される絵画のほか、本年、モスクワの展覧会に出品する、オウムに歌を習わせる作品の関連作として、図形楽譜を展示予定です。

ケニア出身のゴル・スーダンは、大学で社会学と哲学を学び、独学で制作を始めたアーティストです。急激な経済発展を迎えているケニアは、瞬く間に都市のインフラが整備されていく一方で、それに伴うデモも頻発しています。スーダンの『ドローイング・イン・スペース』シリーズには、近年のデモで燃やされた車のタイヤから拾い集めた針金(プロテスト・ワイヤー)が使われています。デモの際に、空間を分断するバリアとして使われていた素材を変容させることで、スーダンは、どちらにも属さない新たな空間を表出させます。本展でも、プロテスト・ワイヤーを使った同シリーズのほか、シエラレオネ共和国のフリータウンで見つけた自転車のケーブルや、東京で発見した素材を使用したドローイングやインスターレーションにより、さまざまな手法で空間を創出、介入することを試みます。

見慣れない環境から創造性の種を見いだし、表現に昇華していくアーティスト・イン・レジデンスの経験は、アーティスト自身にも、その作品と出会う私たちにも、思いもよらない発想を生み出してくれるものといえるでしょう。

テキスト:堀内奈穂子[AIT / エイト]

オープニングレセプション:2014年7月12日(土) 18:00 - 20:00

全文提供:山本現代


会期:2014年6月21日(土)~2014年7月6日(日)
時間:11:00~19:00 *7月16日(水)のみ17:00まで
休日:日・月曜、祝日
会場:山本現代

最終更新 2014年 6月 21日
 

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