展覧会
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執筆: カロンズネット編集3
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公開日: 2014年 6月 18日 |
[作家コメント] <鳥巣貴美子のSlow Art>
鳥巣貴美子のペインティングは「スロー」である。 一見、白いキャンバス地そのままのように見える大画面に、じっと目を凝らしてみる。 まず浮かび上がってくるものは、さまざまな表情をたたえた白い絵具のバリエーションである。 そのなかから、ゆっくりと他の色彩が存在を主張しはじめ、やがて一つの具体的な形ー繊細な草や苔、それらのほとんどは彼女がアトリエで育てている草であるーへと像を結ぶのである。
対象を見つめることから始まる鳥巣の作品は、観るものに彼女の制作行為の追体験を促す。 イメージを生成するまでの過程をあたかも目でなぞるかのようなその体験は、ペインティングのなかで起こった様々な「事件」、たとえば絵具同士の協調と不和、筆致の衝突と融合、モチーフと構図の拮抗などを観るものに生々しく感じさせる。
かつてRoland Barthesは、その著作"The Wisdom of Art"(1979)のなかで、Cy Twomblyの作品を評して「見て、待ち、受けとめ、そして理解する」だと語った。 鳥巣の作品もまた、観るものと作品との相互作用とはなにか、についての一つの考察の結果なのである。
[作家プロフィール] 鳥巣貴美子は1989年愛知県生まれ。ドイツのブレーメン芸術大学での短期留学を終えて、2012年、名古屋芸術大学美術学部洋画コースを卒業。現在は愛知県にて制作活動を行う。
全文提供:taimatz
会期:2014年6月5日(木)~2014年6月28日(日) 時間:11:00-19:00 休日:日・月曜、祝日 会場:taimatz
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最終更新 2014年 6月 05日 |