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坂内美和子:水を辿る vo.II
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 5月 16日

《水を辿る vo.II no.1》(左)

木板に彫りと塗りを加えた彫り絵。キャンバスを支持体とする平面から「絵画」を解放するこの表現に挑み続けているのが、美術作家の坂内美和子です。彼女の個展のお知らせをいたします。6 月30 日(月)から7 月5 日(土)まで、銀座のギャラリー現で開催します。

[作家コメント]
ー 水を辿る vo.II ー
私は、現世とあの世を分ける境目にいた。
この境目、三途の川の由来は、仏教でいう人が死後に赴く3 つの世界、地獄・餓鬼・畜生の三途(三悪道)にちなむのだそうだ。
もちろん、伝説上のそれではない。場所は長生郡長南町。千葉県にある三途川だ。
一宮川へ合流する三途川の終着点。そこの水の色はなんともどんよりとしている。底を見通せぬ闇にも見え、様々な毒素が混じり合う混沌を見せている。そこになにか、この世の縮図を見た。
川を遡ると、民家や小さな古い団地、ホームセンター、お社に沼、色とりどりの花々、などに出会えた。緑豊かだが、ときに世相を反映してか荒廃も見られ、いろいろ考えさせられた。天上を覆うような見事な竹林は、川岸を別世界のように囲い、見事だった。
正方形は窓になる。それを数でつないでいくと、定点観測になる。今回はこの形を鍵にして、世界の様子を写し出そうと思った。
川は流れるがゆえに時間の流れを表す。今回も薄い板の廃材を使用する。時の経過を経たこの素材そのものが川となる。
川は幾つもの土地をつなぐ。古代ギリシアではアケローン川という三途の川とよく似た伝承があったという。廃材は幾つもの場所をつなぐメディアでもある。
私にとって彫刻刀で彫ることは祈りでもあった。いまの社会には深刻な問題が山積している。
私の今回の作品は、それを幾重にも写すとともに、その答えを祈りとともに刻みこみ、表出できればと考えている。
再び、私は水を辿る。

[作家プロフィール]
2013 feel 清里現代彫刻展(山梨・北杜)、GALLERY KINGYO にて個展(東京・千駄木)、
遊・桜ヶ丘 現在進行形 野外展 2013(東京・多摩)
2012 ギャラリー現にて個展(東京・銀座)
2011 中之条ビエンナーレ2011(群馬)、創造と森の声2011(神奈川・横浜)
2010 第13 回我孫子国際野外美術展(千葉)、千葉ウエストビレッジ文化祭企画・梁塵秘聖展(千葉)
2009 ギャラリー現にて個展(東京・銀座)、千葉ウエストビレッジ文化祭企画・現代美術3 人展(千葉)
2008 ギャラリー21+葉にて個展(東京・銀座)
2007 喫茶谷中ボッサにて個展(東京・谷中)
2005 藍画廊にて個展(東京・京橋)、Chiba Art Flash '05(千葉)
ほか


全文提供:ギャラリー現
会期:2014年6月30日(月)~2014年7月5日(土)
時間:11:30~19:00(土曜日17:30まで)
休日:日
会場:ギャラリー現
最終更新 2014年 6月 30日
 

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