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小西真奈:Reflection
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 5月 15日

 

小西真奈が描き出す既視感と空想世界をたゆたうかのような光景は、極めて写実的でありながら実際には存在し得ない景色です。仮にその所在があるとすれば作家自身の中に、あるいは現実との狭間にあると言えるでしょう。作品の素材として使用される写真によって、風景やモチーフには説得力が補強され、完全な空想になることを否定しつつも、のびやかな筆致と明瞭な色合いによって再現性を見事なまでに獲得し、加えて、誇張された構図や遠近といった「ずれ」を生み出すことで、作家自身の中にしか存在し得ない世界を確信犯的に画面の中へと構築しています。

近年モチーフとして取り組んできたポートレートから、本展では再び「風景」を中心に描き出します。以前の作品では、取材旅行に出かけた先での風景を扱っていましたが、今回は、日常に密接したより身近な景色へと場を移しました。何度も足を運び取材することで、その自然の中にある樹々の色や光の美しさを見いだすのはもちろん、写真には収めきることのできない世界が、自身が見た実像をもって発見と記憶を繰り返し、絵画へと向けられた作家固有のイメージをともなって厚みを帯びていきます。

撮影した写真をもとに絵を描く時、小西は日常の延長の中に見つけられる異世界への裂け目を意識しています。絵の中に登場する子息は、その異世界への案内人としての役目を果たします。小さな彼の視線を借りてみると、これまで念入りに見つめてきた景色、例えば人口の池や通い慣れた公園が、底なしの深い水や果てのない森へと姿を変えていくのです。

展覧会のタイトルに込められた意味、それは絵の中に存在する池が風景を「Reflect」するように、公園へ通い絵を描く作家自身の日常を、その日常にパラレルワールドのように存在する異世界をも絵画の中に「Reflect」させていることを示していま す。

オープニングレセプション:5月31日(土)18:00 - 20:00


全文提供:ARATANIURANO
会期:2014年5月31日(土)~2014年6月28日(土)
時間:11:00 - 19:00
休日:日・月曜、祝日
会場:ARATANIURANO
最終更新 2014年 5月 31日
 

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