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秋永邦洋+山脇紘資:Supernatural
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 5月 09日

左:秋永邦洋 / Kunihiro Akinaga「擬態化(鹿)/ Mimicry (deer)」 2014, 120 x 42 x 100cm, ceramics
右:山脇紘資 / Kosuke Yamawaki「大フクロウ / Big owl」 2014, 300 x 400cm, oil on canvas

この度メグミオギタギャラリーでは、2014年5月20日より6月7日まで秋永邦洋と山脇紘資の二人による「Supernatural」展を開催致します。

秋永邦洋(b.1978)は、2001年に大阪芸術大学芸術学部工芸学科陶芸コースを卒業し、陶を素材に用いた立体作品を制作し続けています。 秋永は主たる作品のモチーフに動物の骨格を用い、ひとつひとつのパーツに伝統的な紋章を模した装飾を施します。 全て手捻り技法で成形、施釉、焼成され、組み立てられた骨格は、その滑らかな質感と、見事にデフォルメされた装飾により、骨の持つ死のイメージを直接受け取る事を鑑賞者に許しません。いわば「死を偽装化する」ことにより、秋永はそこに新たに生の気配を浮かび上がらせるのです。 一本一本の骨が組み上げられ動物の全体像が姿を現すと、その躍動感に我々は彼らが「骨」であることをすっかり忘れてしまいます。

山脇紘資は2014年に東京芸術大学院美術研究科絵画専攻を修了し、ロックバンド「ハグレヤギ」のボーカルとしても活躍する気鋭のペインターです。 山脇は学生時代よりその才能を認められ、国内外で多くの展覧会を開催し、アーティストとしてのキャリアを着実に重ねてきました。 彼は、動物の顔という一見写実的なイメージに人間の持つ感情をリアルに寄り添わせることで、絵画の物質性を超えた存在感を召喚します。 巨大なキャンバスは、その全体像を掌握するためには、ある一定の距離を保つことを鑑賞者に要求します。至近距離ではそれは動物の毛であるかさえ判別できず、抽象絵画の様相を呈するのみです。一歩離れる、あるいは近づくごとに形を異にしてゆく過程は、我々に夢と現実を行き来するような浮遊感を呼び起こします。

今展で秋永は死の象徴ともとれる骨格に装飾を施した彫刻のイヌやシカ、花などの最新作を約10点展示します。 山脇はフクロウ、二頭のヤギ、サルといった動物の顔を描いた作品4点を展示します。 "supernatural"とは、超常現象、超自然、あるいは信じられないほど美しい自然の風景など、多様な意味を表す言葉です。 その言葉の持つ曖昧さは、私たちが置かれている世界の曖昧さと重複します。 急速なテクノロジーの発達に伴い、今や私たちは仮想現実の創り出した世界の中に生きていると言っても過言ではありません。 膨大な情報が錯綜し、何が正しく何がそうではないのかという拠り所を求めることが困難を極める中、もはや人間の営みの本質は生と死、夢と現実、その狭間で何かをつかみとる事、あるいはつかんだ気になる事なのかもしれません。 秋永、山脇の作品はまさにその本質を具現化した芸術であるといえるでしょう。 美しいものは嫌が応にも危うさを内包します。大自然を佳景として認識たらしめる視点とは、一歩足を踏み外せば死へと至る断崖に立つが故です。 秋永の彫刻群と山脇の絵画の溶け合った空間も、この世の物とは思えない妖しくも美しい景色で鑑賞者を魅することでしょう。 彼らのアートによりのみもたらされ得るsupernaturalに、是非ご期待下さい。

★レセプション:5月20日(火) 17:30 - 19:30


全文提供:メグミオギタギャラリー
会期:2014年5月20日(火)~2014年6月7日(土)
時間:11:00 - 19:00
休日:日・月曜、祝日
会場:メグミオギタギャラリー
最終更新 2014年 5月 20日
 

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