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杉本博司:放電場
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 8月 17日

≪Lightning Fields 119≫2009年|Gelatin silver print|©Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gallery Koyanagi

骨董への深い造詣や、執筆や空間設計、能舞台のプロデュース等、幅広い分野で活躍めざましい杉本博司が、2006年より発表を始めたシリーズ「放電場 Lightning Fields」より、2009年に制作された最新作を今回ご紹介いたします。 本シリーズは、その名の示す通り写真乾板の上に直接人工的な閃光を起こす放電実験です。1752年の凧揚げ実験で雷が電気であることを、そして電気には陽極と陰極があることを証明してみせたベンジャミン・フランクリンや、1831年に電磁誘導の法則を発見したマイケル・ファラデー、その共同研究者の一人であり写真の発明者の一人でもあるフォックス・タルボット等、先人たちの大発見をもう一度暗室の内に再現させ、この眼で確かめてみたいと杉本の手で始められた実験の過程は、すでに昨年から今年にかけて2つの美術館を巡回した「杉本博司 歴史の歴史」展等で発表されてきました。

フィルムに走った稲妻は有機的な連関を喚起するものですが、最新作では実験は更に進み、稲妻はいよいよ繊細に、より静かな表現を獲得し、偶然性の内に杉本らしい寂寥感を包含するものとなっています。それらはライトボックスでのオリジナルネガ作品と共に展示構成されます。

杉本博司
1948 東京生れ
1970 立教大学経済学部卒業
1972 アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン卒業
1974- ニューヨーク在住 受賞歴
2006 フォトエスパーニャ賞、マドリッド、スペイン
2001 国際写真賞、ハッセルブラッド基金、ヨーテボリ、スウェーデン
2000 名誉博士号、パーソンズ・スクール・オヴ・デザイン、ニュースクール大学、ニューヨーク
1999 グレン・ディンプレックス賞、アイルランド近代美術館、ダブリン、第15回アニュアル・インフィニティ賞、国際写真センター、ニューヨーク
1988 毎日芸術賞、東京
1982 国立芸術基金(NEF)助成金、ワシントンD.C.
1980 ジョン・サイモン・グッゲンハイム記念財団奨学金、ニューヨーク
1977 C.A.P.S.奨学金、ニューヨーク 「ジオラマ」「劇場」「海景」などに代表される写真作品は、明快なコンセプトと卓越した技術で高い評価を確立し、世界中の美術館に収蔵されている。精力的に新作発表を続けながら2005年より初の回顧展が森美術館(東京)を皮切りに米国巡回、2007年からはヨーロッパを巡回。また2005年以降自身のコレクションと自作を組み合わせて構成した大規模展「杉本博司 歴史の歴史」も回顧展と平行し米国、カナダ開催を経て2008-09年に金沢21世紀美術館、国立国際美術館にて開催。近年は執筆、設計へも活動の幅を広げ、2008年には2冊目の論考集「現な像」が新潮社より刊行。同年、設計を手掛ける新素材研究所設立。内装・作庭を手掛けるIZU PHOTO MUSEUM(三島)が2009年秋竣工予定。

全文提供: ギャラリー小柳

最終更新 2009年 9月 08日
 

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