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アグニェシカ・ブシェシァニスカ:KOBAYASHI MARU
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 4月 07日

 

この度、NANZUKAはポーランド人アーティスト、アグニェシカ・ブシェシァニスカの新作個展を開催致します。 本展は、ブシェシァニスカにとって日本初個展となります。

アグニェシカ・ブシェシァニスカは、ポーランドのグダニスク(Gdansk) とワルシャワ(Warsaw)の美術アカデミーを卒業した後、1998年より3年間、日本の東京芸術大学 (Tokyo University of the Arts) に留学した経験を持ちます。帰国後はベルリンとワルシャワを拠点に活動し、近年の主要な展覧会として、I love you. Be good(Marlborough Contemporary、ロンドン 、2013)、A Painting Cycle(Nomas Foundation、ローマ、2012)、Back to the Garden(Galerie Kamm、ベルリン、2012)、Sound Waves, Light Waves, Dance Waves(Clifton Benevento、ニューヨーク、2011)、Cosmic Equation(バーゼル現代美術館、バーゼル、2010)など世界中で多数の個展を行い、高い評価を得ています。

近年のブシェシャニスカの主な関心は、意味の代替機能と平行現実について注がれています。一見すると離れた分野、領域に属するものの間にある共通点を見いだすというプロセスには、彼女の創作活動を紐解くヒントがあります。例えば、宇宙やそれを形作る力の構造から着想を得る一方で、細菌や寄生生物などが住む日常のミクロな世界の観察と解読を試みる、といったブシェシャニスカの探究心は、彼女に様々なイマジネーションを与えます。

本展で発表される新作の作品は、板絵とガラス絵、そして写真という異なる3つの素材を組み合わせた平面作品のシリーズです。例えば、これらの作品に見られる災害や事故現場を映した写真と幾何学的な形態の金箔を貼ったガラス、そして抽象的な線や構成、小さな人が描かれた板絵の織りなす複雑な画面は、それ自体が今日の社会の成り立ちを意味していると捉えることも可能ですし、あるいは私たち自身を映す鏡とも読み取る事が可能です。

ブシェシァニスカの作品において、身体(身体性)は重要なキーワードです。ペインティング、ビデオ、写真と幅広いジャンルで創作活動を行うアーティストにとって、例えば自然と人工物、科学と哲学、思考と霊的な感性といった平行的で相互作用するテーマへの関心は、常に彼女の身体性をもって作品に還元されます。この可変的で予測不可能なブラックボックスは、ブシェシァニスカの芸術を崇高で唯一無二の存在へと押し上げている神秘とも呼べるものです。

本展に寄せて、アーティストが久しぶりの来日を果たします。 2014年4月5日18:00~アーティストを囲んで、オープニングレセプションを開催致します。 本展を皆様にご高覧頂ければ幸いです。

*KOBAYASHI MARU(小説版邦訳ではコバヤシ・マル) は、アメリカのSFテレビドラマ『スタートレック』シリーズの劇場版第2作『スター・トレック2 カーンの逆襲』および第11作『スター・トレック』に登場する架空の宇宙艦。ただし作品世界内においても架空の存在であり、23世紀の宇宙艦隊アカデミーにおけるシミュレーション課題の一つ「コバヤシマル・シナリオ」の題材とされている。このシナリオは、候補生たちがどう行動しても最後は負け、すなわちコバヤシマル救出に失敗の挙句、全滅を免れないというものである。候補生が「絶望的な状況を打開できるかどうか」ではなく、「絶望的な状況に置かれたときどんな反応を示すか、最後まで的確な対応がとれるかどうか」を見極めるためのテストである。(wikipedia引用)


全文提供:NANZUKA
会期:2014年4月5日(土)~2014年5月3日(土)
時間:11:00 - 19:00
休日:日・月曜、祝日
会場:NANZUKA
最終更新 2014年 4月 05日
 

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