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風能奈々:あの魚が光ってみえるのは はがれかけた鱗がゆれるから
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 1月 06日

 

風能奈々のペインティングは装飾的なパターン、動植物、人物、風景、文字などのモチーフが繊細で密度の濃い線によって満たされています。
アクリル絵具、染色のペンで描かれる優美なドローイング、染料やジェッソの重ね塗り、マスキングによって浮かべられる模様など、多彩な手法により、画面に重ねられるレイヤーがつくりだす視覚効果は、作品の奥まで見てみたいという好奇心を誘います。時に磁器、テキスタイル、また時にはレリーフのようなテクスチュアが作品に溢れています。

多様なマチエールに対する鋭い感覚と創造力を保っているのは、よく博物館を訪ね、古い物をじっくりと見ることと関連しているかもしれない、と風能は話します。歴史において現れたさまざまな造形要素とマテリアルがその時代の精神性と世界観を反映し、風能にインスピレーションを与える一方、彼女の特有な造形言語とマチエールは、個人のエモーショナルな側面の一瞬が形成する、独自の世界観を描いています。また、日常生活でわき起こる感情の波が風能の絵を描くことを促すとも彼女は話します。その瞬間に感じたことを風能は、ペインティングと同様の密度でノートブックに描いていき、それらのドローイング・ノートはイメージの源泉となり、タブローの上に発展していきます。

本展では、アクリル絵具とマスキングの手法を用いた作品を中心に展示いたします。幅6m近い4枚組の大作とともに、108点の40cm×40cmの小品により構成される壮観な展示、風能が新たに試みたグレーズの手法を用いた作品などが展示されます。また、2012年の小山登美夫ギャラリー(東京)での個展で、彼女は自身のインスピレーションの記録となるドローイング・ノートが初めて発表されました。その後も毎日3~5時間をかけて描き続けてきた、最新のドローイング・ノートを展示いたします。風能が持つ豊かな想像力、表現における新しい展開と挑戦をご覧下さい。

[作家プロフィール]
風能奈々は1983年、静岡県生まれ。2006年大阪芸術大学芸術学部美術学科絵画コースを卒業。2008年京都市立芸術大学大学院絵画専攻油画科修了。
主な個展に2012年の「水の漏れないうつわ」展(小山登美夫ギャラリー、東京)、2010年六本木ヒルズ アート アンド デザイン ストア スペースA+D」での個展、2009年の「誰がその物語を知る」展(小山登美夫ギャラリー京都、京都)などがあります。主なグループ展に2008年のアートアワードトーキョー(行幸地下ギャラリー、東京)、2009年のVOCA展(上野の森美術館、東京)があります。作品は高松市美術館、ジャピゴッツィ・コレクションに収蔵されています。

オープニングレセプション 1月10日(金) 7:00 - 9:00pm
*1月30日(木) - 2月3日(月)は旧正月のため休廊となります。


全文提供:小山登美夫ギャラリー シンガポール
会期:2014年1月10日(金)~2014年2月16日(日)
時間:12:00-19:00
休日:日・月曜、祝日
会場:小山登美夫ギャラリー シンガポール
最終更新 2014年 1月 10日
 

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