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人間と宇宙のドラマ:吹田文明・堀井英男・長岡國人
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2013年 12月 18日

堀井 英男(1934-1994)《magic room 82-9》1982/エッチング、アクアチント、紙

この展覧会では、版画によって独自の表現を追求してきた、3人の作品を紹介します。

吹田文明(ふきた・ふみあき)は1926(大正15)年、徳島県の生まれ。徳島師範学校を卒業し、小学校での図工教育の中で版画に取り組むようになり、ベニヤ板やラワン材、油性インクなどを用いた新しい表現を開拓し、作家として評価されるようになりました。1969(昭和44)年からは多摩美術大学で教鞭をとり、後進の育成にもあたりました。あざやかな色彩で星々や花火を題材に、雄大な作品世界を展開しています。

堀井英男(ほりい・ひでお)は1934(昭和9)年、茨城県の生まれ。東京藝術大学で油絵を学び、卒業後に独学で銅版画に取り組み始めました。その作品はすぐに評価され、国内外の多くの展覧会での発表が続きました。作品の中では、アクアチントによる陰影に富んだ色彩に包まれて、戯画化された人物が物語を演じるような世界が展開しています。更なる活躍が期待されながら、1994(平成6)年、60歳で病没しました。

長岡國人(ながおか・くにと)は1940(昭和15)年、長野県の生まれ。多摩美術大学でデザインを学び、グラフィックデザイナーとして活動。1966(昭和41)年、当時の西ベルリンに移住して国立アカデミーで版画を学び、大地を自然とも人工ともつかない構造物としてとらえ直した作品で高い評価を得ました。1980年代半ばからは版画を離れ、植物由来の多様な素材を用いた作品を制作しています。

それぞれが表現する世界は異なりますが、3人とも版画の技法を駆使してあざやかな色彩を組みあわせ、世界と人間の関わりや有り様を独自の形で表現していると言えるでしょう。

また、今回展示する作品は、当館がこれまで行ってきた日本の近代版画の収集や研究を評価いただき、近年まとめてご寄贈をいただいたものでもあります。3人の作家がそれぞれの技法を巧みに用いて描き出す、人間と人間を取り巻く世界の姿をお楽しみください。

【関連事業】
講演会:吹田文明氏(出品作家)
1月13日[月・祝]
14時から、2階ホールにて(13時30分開場、先着120名、聴講無料)


講演会:長岡國人氏(出品作家)
1月25日[土]
14時から、2階ホールにて(13時30分開場、先着120名、聴講無料)

フロア・レクチャー(学芸員による展示解説)
12月25日[水]、1月4日[土]、2月23日[日]
すべて14時から展示室にて(要観覧券)

全文提供:和歌山県立近代美術館


会期:2013年12月17日(火)~2014年2月23日(日)
時間:9:30 - 17:00(入場 - 16:30)
休日:月曜日(ただし12月23日と1月13日は開館し、それぞれ翌24日と14日休館)、年末年始(12月29日~1月3日)
会場:和歌山県立近代美術館

最終更新 2013年 12月 17日
 

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