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日高理恵子 展
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 12月 04日

Distance from the Sky IX, 2013 ©Rieko Hidaka

本展では、日高が近年取り組んでいる連作『空との距離』の最新作を展示いたします。数年前からモチーフになっている百日紅の木を、今回は作家自身が描写する際の視点を更に高く設定し、より空に近づく形で、実物よりもはるかに大きなスケールで描くことになりました。「私にとって枝は空間を測量するメルクマールのようなもの。空間を刻むための目盛りのようなものなのです」(日高理恵子「『空との距離』をめぐる覚え書き」gFAL 武蔵野美術大学刊 2008年)と日高が語る通り、画面いっぱいに伸びる枝々とその合間から広がる純白の空間は、「見つめれば、見つめるほどに見えてくる測り知れない距離」を感じさせます。「いわゆる遠近法的な奥行き、空気遠近法的な描写とは違う遠近感、距離感を私自身の知覚をとおして絵の上に残してゆきたい」という作家は、ぎりぎり眼で見ることのできる枝葉だけを捉え、木肌の表情などはそぎ落として、描く要素をより絞り込んでいきます。「見極めきれない、測りしれない、ということを自分自身の感覚としてリアルに感じつづけるために樹を見上げ描いているのだと思う。少しでも測りしれないものに近づきたい、あの空を描くために樹を描いているのだと思う」という作家の、新たな試みを是非ご高覧ください。

[作家プロフィール]
日高理恵子は1958年、東京都生まれ。1983年、武蔵野美術大学造形学部日本画学科卒業。1985年、同大学院造形研究科美術専攻修了。現在、東京を拠点に制作活動を行っています。
1995年から1年間、文化庁芸術家在外研修員としてドイツに滞在。作品は多くの美術館に収蔵され、国立国際美術館(大阪)、北海道立釧路芸術館、広島市現代美術館、東京大学駒場図書館、福岡市美術館、新潟県立近代美術館・万代島美術館、東京国立近代美術館、水戸芸術館現代美術ギャラリー(茨城)、豊田市美術館(愛知)、群馬県立館林美術館、ヴァンジ彫刻庭園美術館(静岡)、東京都現代美術館、高松市美術館(香川)、ザクセン州立美術館銅版画館(ドイツ)、横浜美術館(神奈川)でコレクションされています。最近の主な展覧会には、「プレイバック・アーティスト・トーク」(東京国立近代美術館、2013年)「山荘美学:日高理恵子とさわひらき」(アサヒビール大山崎山荘美術館、京都、2010-11年)「Kami:静と動-現代日本の美術」(ザクセン州立美術館、ドレスデン、ドイツ、2009年)「眼をとじて-“見ること”の現在」(茨城県近代美術館、2009年)「日高理恵子展」(武蔵野美術大学2号館 gFAL、東京、2008年)、「わたしいまめまいしたわ 現代美術にみる自己と他者 Self / Other」(東京国立近代美術館、2008年)「Chikaku - Time and Memory in Japan」展(クンストハウス・グラーツ、オーストリア、他巡回2005-06年)などがあります。

オープニングレセプション 12月14日(土) 6:00 - 8:00pm
*[アーティスト・トーク] ギャラリー内 :12月14日(土) 5:30pm-


全文提供:小山登美夫ギャラリー
会期:2013年12月14日(土)~2014年1月25日(土)
時間:12:00ー19:00
休日:日・月曜、祝日
会場:小山登美夫ギャラリー
最終更新 2013年 12月 14日
 

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