| EN |

イグノア・ユア・パースペクティブ19 「space aesthetics」
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 11月 25日

 


児玉画廊|東京では11月16日(土)より12月14日(土)まで、Kodama Gallery Collection - ignore your perspective 19「space aesthetics」を下記の通り開催する運びとなりました。今展覧会は、児玉画廊初紹介の作家2名を含む4人、石田浩亮、黒澤 潔(初)、佐藤克久、清水信幸(初)による構成で開催致します。
石田浩亮は今年5月に児玉画廊(京都)でKodama Gallery Projectとしての個展「道頓堀川」でデビューした写真の作家です。特別なカメラや技術を使う訳ではなく、例えば、デビュー展で発表した連作「道頓堀川」は、一見するとピーキーにデジタル処理されたCG画像のように見えますが、写り込んでいる波紋や浮遊するゴミによって、それが道頓堀の水面に映るカラフルなネオンサインの光にフォーカスしたものであると気づいた途端に、一気に視野が開けてあの大阪の街の喧噪までが思い起こされるような気持ちにさせられます。石田はスナップ撮影にこだわり、光と色彩、構図を絶妙なバランス感覚で捉え、スナップショットならではの生っぽさによって場の空気感をガラリと変えてくれるように思えます。
黒澤潔は、木材やガラス等のシンプルな素材と、その素材固有の質感や色彩を丁寧に扱った立体作品およびインスタレーションを制作しています。児玉画廊では今回初紹介となります。黒澤の作品は、抽象化してしまう一歩手前のような記号的な形象の捉え方、均整の取れた無駄の無い造形を特徴としており、その空間と馴染む様に佇む様は、決してありきたりでないにも関わらず見ていて心地良さすら感じさせます。
佐藤克久は、児玉画廊|東京での今年6月の個展「さひつかうとさ」で大変ご好評頂きました。佐藤は制作のプロセスにおける、色彩、構図、手順等について、あらゆる場面で不断に自問し、常に行為に対して自覚的であることを追求して絵画を描くという作家です。しかし、作品自体にはその苦悶や試行錯誤の痕跡は見えず、ただ美しい色彩と構図が隙のない調和を見せています。絵具の色彩が複雑に重なっているにも関わらず色の明るさを濁らせない、ベタ塗りやストライプ等の何気ない構図でありつつもどこかに一癖必ずアクセントを付ける、そういった熟慮の末にあるさりげない巧妙さによって観る者を惹き付けるのです。
もう一人の初紹介の作家、清水信幸は、色彩を物質化したような作品を制作しています。清水の作品は、ペインティングナイフによって小石のような多面形に成形された絵具の塊がキャンバス上に付けられ、異様な存在感を放っています。予め油抜きをすることで粘土の様な固形物とした油絵の具を素材としているため、ナイフで成形した際のエッジが緩んだり造形が崩れることなく保たれ、重力に抗う様にしてキャンバスから色鮮やかに、凛として立ち上がっている様子は非常に目を引きます。
これらの4名の作家はそれぞれ、写真、立体、絵画、と扱うメディアも、作品に対するアプローチも異なっていますが、空間と親しむ様な作品の在り方という点において通底するものを感じさせます。今回の ignore your perspective では、作品を鑑賞するための画廊や美術館といった特殊な空間においてだけでなく、様々な建築空間や住環境において、某かユニークな作用が期待できるであろう作品のセレクションを通して、アートの装飾性という既存の観点に、児玉画廊の独特のニュアンスと一歩先進的なアイデアを提示するべく、その趣旨において「space aesthetics」(空間エステティック) と題してご紹介致します。


敬具
2013年11月
児玉画廊 小林 健

出展作家:石田浩亮 / 黒澤 潔/ 佐藤克久 / 清水信幸

オープニング:11月16日(土) 18時より


全文提供:児玉画廊 | 東京
会期:2013年11月16日(土)~2013年12月14日(土)
時間:11:00 - 19:00
休日:日・月曜、祝日
会場:児玉画廊 | 東京
最終更新 2013年 11月 16日
 

関連情報


| EN |