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水越香重子:いま記録されつつあるイメージ
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 11月 21日

 

この度、NANZUKAは、AISHO MIURA ARTSキュレーションによる水越香重子の新作展を開催致します。 水越は1976年東京生まれ、2005年多摩美術大学を卒業後、2007-2008年フランクフルト市立美術大学で学び、2009-2013年はアジアン・カルチュラル・カウンシル (ACC) 、吉野石膏美術振興財団、文化庁から助成を受け、ニューヨークにて作品を制作、発表。滞在中にはInternational Studio and Curatorial Program(ISCP) やLocation Oneなどのレジデンシープログラムに参加しました。現在は東京をベースに作品を制作しています。 これまでの主な展覧会として、"Nostalgia -East Asia Contemporary Art Exhibition"上海現代美術館(MOCA) 2012年/上海、"第三回恵比寿映像祭 Day Dream Believer!!!"東京都写真美術館 2011年/東京、"Nicolas Grospierre and Kaeko Mizukoshi" Location One 2009年/ニューヨーク、"DELIRIUM" 資生堂ギャラリー 2007年/東京(個展)などがあります。

水越の写真や映像などの一連の作品は一見して目をひく魅力的な視覚構成だけではなく、流通する歴史的な記録への介入や操作を通したイメージの探究や歴史記述の再考察がみられます。2011年に第三回恵比寿映像祭にて発表された映像作品"Goete-Haus"では一度戦争で焼失し復元されたゲーテの生家である博物館を舞台に、18世紀の衣装を纏った役者らと物語が進みます。ここでは当時のオリジナルに対してその復元から作品に至るまで、多くの切り取られた他者の視点が介入しています。作品はその記録に対してオリジナルの在処を問うと同時に、我々がこれまで記録してきたあらゆる歴史認識に対して他者の視点が介入されていることを改めて気づかせます。また必ず他者の視点が存在する歴史認識の再考は、記憶の曖昧さや、フレームの外を記録することが出来ない映像や写真の不確かさという問題を同時に提起しています。

本展覧会で発表される、「過去」の記録イメージ使って「今」の記録、ドキュメンタリーをつくる最新の写真シリーズ“Images in the process of being documented(いま記録されつつあるイメージ)”では、日本の戦後(主に50,60年代)の記録イメージを引用しています。引用した記録イメージを一般的な白黒コピーに変換し、さらにフィルムによる多重露光を用いた複写によって新しい構造を追加することでおこるイメージの転換は、 既存の記録イメージの機能に変化をもたらす効果を与え、これまでの作品と同様に歴史記述についての考察と関わりながら、現在に対して鋭い視点をもたらす内容となっています。


全文提供:NANZUKA
会期:2013年11月23日(土)~2013年12月21日(土)
時間:11:00 - 19:00
休日:日・月
会場:NANZUKA
最終更新 2013年 11月 23日
 

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