Sachiko Teramura:MY SWEET FLOWERS |
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Published: July 03 2013 |
チョウでもハエでもえり好みをせず受け入れるノイバラ。ハナバチだけに相手を限り、ほかの昆虫には蜜を吸わせないレンゲソウ。植物は花の色や形、大きさ、蜜の場所を変えることで、花粉の運び手である昆虫や鳥の行動を操る戦略を進化させてきました。繊維造形作家の寺村サチコはそうした植物を造形上の参考にしながら、シルクオーガンジーを素材に立体を制作しています。 「夢見て咲いている」と歌われるミズバショウの純白の部分は花びらではなく葉が変形したもの。実際には円柱状の穂に小さな花がたくさんついているだけですが、大きな花のようなもので昆虫を誘うのは策略といってもよいほどです。寺村が興味を持つのは植物や花の美しさだけではなく、その裏側にある毒の部分。「可憐な感じだけれど、ずるさもあれば毒もある」。彼女がイメージする植物は素朴とは言い難い存在です。 技法は絞り染めと型染め。絞り染めは、一枚の平らな生地を引っ張って括(くく)る、縫って引き寄せる、ひだをつけて縛る、といった行為を繰り返し、布を防染しつつ形を記憶させる染色法です。寺村はこの技法を駆使して、平面である布を立体に変化させます。また、型染めは型紙を用いて文様を染め出す染色法で、文様のリピートに特徴があります。 今回の個展でイメージソースに使ったのはミズバショウ、レンゲソウ、クロッカス、ノイバラ、スイートピーなど。ねっとりした黄色い花を持ち、「春の妖精」の一つといわれながらも毒性の強いフクジュソウも含まれます。それらを基に生まれたテキスタイルの立体作品が、甘い汁を分泌するかのように空間いっぱいに誘惑の戦略を繰り広げます。 [作家プロフィール] 全文提供:TACHIBANA GALLERY 会期:2013.7.3~2013.7.27 時間:12:00 - 19:00 (Saterday)12:00 - 17:00 closed:7/15-22 会場:TACHIBANA GALLERY |
Last Updated on July 03 2013 |