宮田彩加 : 野菜WARP |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2012年 4月 13日 |
近年、現代美術において、染色・織・刺繍といったファイバーアートを表現手法として用いられることが多くなり、様々な具象・抽象を題材とした作品を目にする機会が増えました。日常生活に寄り添う一般的な、いわゆる「刺繍」という行為も、今までの概念を覆される、個性的な作品が若い才能達によって作られ、ファイバーアートの世界に新風を吹き込んでおります。そんな若い才能の中で期待が寄せられる作家のひとり、宮田彩加は、昨年の9月に開催した初個展で、様々な生物を手刺繍によって制作し、布地や織りに溶け込ませることで、自身の制作における原点であるテーマ、「擬態」を見事に表現しました。 本展では、手刺繍からミシン刺繍に手法を変化させて制作された「WARP」シリーズの中から、野菜をカットした時の残像を、延長し歪んだミシン糸によって表現した「野菜WARP」の展示となります。 本来、ミシン刺繍は針目が均一となることで、その特徴を表しておりますが、手刺繍によって制作してきた宮田にとって、ミシン刺繍の均一な針目の機械的な縫い目には違和感を覚えていたと言います。その違和感から、デジタルの要素にアナログ的なアプローチを加え、あえて「崩す」ことにより、本展における主題、「WARP」の残像は生まれました。 刺繍の表現方法を模索する中で、もう一歩踏み込んだ中に存在する、宮田自身が目指す「不均整の均整というバランス」を、作品として具現化し、刺繍としての表現の幅を広げた作品といえるのではないでしょうか。 遠目では絵画と見まがう程の技術と、そこに内包された刺繍表現における作家の意欲的な試みが、ファイバーアートの魅力をより身近に感じることが出来る機会となることでしょう。 [作家コメント] [作家プロフィール] 全文提供:cafe dining near ∽ gallery near 会期:2012年4月28日(土)~2012年5月9日(水) |
最終更新 2012年 4月 28日 |