『成層圏』プレイベント:下道基行リフォート・アーカイブ |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2011年 2月 01日 |
「風景の再起動」 Reactivating Landscapes 私たちの目の前に拡がる景色は、漠然と見ていればただの「眺め」にしか過ぎないが、そこに何かを発見し、読み取り、切り取ることで「風景」へと変わる。つまり、まなざしではなく、景色の中に分け入る能動的行為が「眺め」を「風景」へと転換するのだ。風景を題材としたイメージは巷にあふれ、雑誌やモニターの中で私たちは日々無数の風景と出会うことができる。しかし、作家が 実際にその風景に自分の身体を晒しながら瞳の奥に潜むレンズでそれをスキャンし、そこに内包される歴史や構造を解きほぐすことで、風景は新たな扉を開いてゆく。しかし、いまだ扉の先に道はない。あるのは作家が時には迷い、ときには断固として灯してゆく道明かりだけだ。新たな色彩とレイヤーの灯火は、どんな地平に私たちを導くのだろうか。 ●キュレーター/高橋瑞木(水戸芸術館現代美術センター学芸員) ●下道基行 したみち・もとゆき ※全文提供: gallery αM 会期: 2011年3月5日(土)-2011年3月19日(土) ※東北関東大震災のため3月14日より中止 東北関東大震災のため 会場: gallery αM |
最終更新 2011年 3月 05日 |
近くに居るのに、どうしても壁を感じるものがある。本展の作者、下道にとっては戦争遺跡がそうだったのだろうか。2004年から、仲間たちと戦争遺跡でイベントやパフォーマンスをして撮影した写真や計画書等が会場に並ぶ。そこにあるのは、4つの時間だ。かつてあった戦争の時と、戦後何十年か経ち、そこでパフォーマンスが楽しまれ、その場で生まれた数年前の瞬間と、「写真」として残された時を観る今のわたしたちと、これから実施されるプロジェクトの進行実況という時間軸である。馬喰町のギャラリービルの地下1Fで、私達が写真に撮られた風景を媒介に、どんな思考ができるのかと挑戦的に問いてくる展覧会。