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『成層圏』プレイベント:下道基行リフォート・アーカイブ
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 2月 01日

左: 《戦争のかたち》2005年
右: 《Re-Fort Project》2004-2011年
画像提供:gallery αM
Copyright© Motoyuki Shitamichi

「風景の再起動」 Reactivating Landscapes

私たちの目の前に拡がる景色は、漠然と見ていればただの「眺め」にしか過ぎないが、そこに何かを発見し、読み取り、切り取ることで「風景」へと変わる。つまり、まなざしではなく、景色の中に分け入る能動的行為が「眺め」を「風景」へと転換するのだ。風景を題材としたイメージは巷にあふれ、雑誌やモニターの中で私たちは日々無数の風景と出会うことができる。しかし、作家が 実際にその風景に自分の身体を晒しながら瞳の奥に潜むレンズでそれをスキャンし、そこに内包される歴史や構造を解きほぐすことで、風景は新たな扉を開いてゆく。しかし、いまだ扉の先に道はない。あるのは作家が時には迷い、ときには断固として灯してゆく道明かりだけだ。新たな色彩とレイヤーの灯火は、どんな地平に私たちを導くのだろうか。

キュレーター/高橋瑞木(水戸芸術館現代美術センター学芸員)
1973 年東京都生まれ。早稲田大学大学院を卒業、ロンドン大学東洋アフリカ学院MA修了。森美術館準備室勤務を経て2003年より現職。担当した企画展に「ライフ」(06年、水戸)、「ジュリアン・オピー」(08年、水戸)、「Beuys in Japan:ボイスがいた8日間」(09年、水戸)共同企画に「KITA!! Japanese Artists Meet Indonesia」(08年、国際交流基金主催、ジョグジャカルタほか)など。

下道基行 したみち・もとゆき
1978年岡山県生まれ。2001年武蔵野美術大学造形学部油絵科卒業。2003年東京綜合写真専門学校研究科中退。2005年、日本全国に残る軍事遺構を探し撮影した「戦争のかたち」を出版。今回は下道が中心になって発足したプロジェクト「Re-Fort PROJECT」からこれまでの記録と新作を紹介する。「Re-Fort」は日本全国で放置されている戦争の遺構を使い、イベントを起こしながらそれを記録していくプロジェクト。

※全文提供: gallery αM


会期: 2011年3月5日(土)-2011年3月19日(土) ※東北関東大震災のため3月14日より中止

東北関東大震災のため

会場: gallery αM

最終更新 2011年 3月 05日
 

編集部ノート    執筆:田中 みずき


左: 《戦争のかたち》2005年
右: 《Re-Fort Project》2004-2011年
画像提供:gallery αM
Copyright© Motoyuki Shitamichi

    近くに居るのに、どうしても壁を感じるものがある。本展の作者、下道にとっては戦争遺跡がそうだったのだろうか。2004年から、仲間たちと戦争遺跡でイベントやパフォーマンスをして撮影した写真や計画書等が会場に並ぶ。そこにあるのは、4つの時間だ。かつてあった戦争の時と、戦後何十年か経ち、そこでパフォーマンスが楽しまれ、その場で生まれた数年前の瞬間と、「写真」として残された時を観る今のわたしたちと、これから実施されるプロジェクトの進行実況という時間軸である。馬喰町のギャラリービルの地下1Fで、私達が写真に撮られた風景を媒介に、どんな思考ができるのかと挑戦的に問いてくる展覧会。


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