吉田有紀:芸術におけるL点の調査と研究 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2010年 6月 04日 |
吉田有紀は平面上に数個あるいは無数の球体、円形を描くことにより出現する、色と影の世界を表してきました。ほぼ15年にわたる制作の中、作家はデュシャンの語る「鑑賞者との共同作業」を行い、「なにものはわからないが何かが見える」光景を創造しています。吉田の平面作品は抽象画にも見えますが、同時に具体的な形象を持ち得る可能性を秘めた絵画です。近年は画面に数字という「要素」を見出し、研究対象としました。画面に無造作に描いた円球の個数を数えると、そこにはゼロから無限へとつづく数列の海から選ばれた、たったひとつの特定の数が存在するということの意味を作家は考えます。 このたびeitoeikoで発表する作品は、数という無機的な概念とは真逆ともいえる、有機体、すなわち生命についての立体作品を発表します。数と生命というふたつのテーマは、じつは作家の興味の根源でもある「もののかたちのはじまり」をとらえるための、二大要素ではないでしょうか。そしてふたつの中心という発想は、日本画と現代美術という異なる分野をまたぐ作家の原点ともなっています。吉田有紀の新たな挑戦にご期待ください。 *L点…ラグランジュポイントとよばれる、天文学においてふたつの物体が円軌道を描く際、それぞれの重力と遠心力をつりあいながら第3の物体が2体との位置を保つことのできる地点。 吉田有紀略歴 ※全文提供: eitoeiko 会期: 2010年6月17日-2010年7月18日 |
最終更新 2010年 6月 17日 |