山邊桜子:categorize of the world |
展覧会
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執筆: カロンズネット編集3
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公開日: 2014年 4月 30日 |
2014年5月23日(金)から6月4日(水)までの12日間、gallery nearにて、山邊桜子 展「categorize of the world」を開催いたします。 山邊は、京都造形芸術大学の洋画コース在籍時から、様々なグループ展に出展、また、京都の商店街で開催されるアートイベントの企画・運営や、 若手作家を集め、自身も作家として出展するグループ展を企画するなど、作家としての立場だけでなく、プロデュース的な目線からも活動してまいり ました。その俯瞰的に物事を捉える視線は作品制作にも影響を与え、約1年前の2013年5月に開催された弊廊での初個展「Domestic Matter」 では、色を多角的に捉えることで自らが描く画面が生み出す色彩同士の関係性と、現代社会で生活する人間同士の関係性とをリンクさせた表現 をもって、鑑賞者に大きなインパクトを与え、我々に社会との関わりを再考させるきっかけを提示しました。山邊にとっての主題である「色彩」と 「人間」との関係性は根底に据えつつも、初個展から1年が経過した現在の表現は、どのような進化を遂げているのか大いに期待が高まります。 山邊は、油彩において「色」を描く行為を主な表現としております。人間は何かが視界に入った時、最初に形より「色」で物を認識する傾向にあると いう事(視力が弱い乳児は形よりも色に反応するなど)に着目し、色彩そのものが発する存在感を意識して画面に筆を落としていきます。塗り重ね られた色は、混沌とした表情を映すかと思えば、それら澱んだ色を照らすかのようにはっきりとした鮮やかな色が表れ、その相反する色彩が混在 する画面にしばし、目を奪われます。形(境界線)が無い色彩そのものを、引きのばすことで濃淡をつけ、違う色と色の間に色調を作り、更に絵具の 塊で形を作り、また、その塊を溶解し形を失くすといった作業を繰り返すことで画面を完成させ、そこに浮かび上がった「色彩の境界」が持つ不安定で 曖昧な部分と、我々の社会生活における「他者との距離感」、その双方に関係性を見出し、その意義を提示します。 本展は、「categorize of the world」と題され、日本列島を分解した地図をモチーフに表現された47点の小作品で構成され、インスタレーションの 要素を含んだ内容となります。本展タイトルを直訳すると「分類された世界」となり、山邊の表現における「色彩の境界」と「他者との距離感」との 関係性を更に掘り下げたテーマと言えます。山邊が本展においてモチーフとしている日本地図は、「人によって作られた境界線」の集合したもので あり、「カテゴライズされたもの」の象徴として捉えます。日本人にとって馴染みのある都道府県のアウトライン(境界線)を切り取り、様々な角度から 観察したのちに、形を保持しない「色彩」を用いてデフォルメして描き、地図ではない「分類されたもの」として再構成することをテーマとしております。 「分類」は、いわば「境界を引く」ということでもあり、山邊が「色」を用いて表現する行為は、色彩を分類するということなのかもしれません。しかし、 その分類する行為自体は、本人にとっても曖昧な部分が多く、前述した、描く作業を繰り返す中で自然とその境界は示され、表出されていくもので あり、それらはまるで、曖昧なまま様々なモノをカテゴライズしてきた社会の縮図のようにも感じられます。そういった意味でも、山邊の表現は、現代 社会においてありとあらゆる場面で遭遇する「カテゴリー」に対して、今一度、再考する意義を提示しているのではないでしょうか。世の中は至る所で カテゴライズが行われ、画一的な枠組みの中に取り込み、当てはめていきます。カテゴリーに分けられた物事や事象は、表面に現れるもの(名称や 印象)だけで判断され、そのものが持つ本質や実情などは覆い隠されます。そこには、本来あるべき姿を見ようとする力さえも封じ込めてしまう程の 力を持ち、偏見や差別さえも生み出してしまう可能性を秘めています。山邊が描く画面からは、物事の本質を見極めようとしない、また、できなく してきた現代社会に対して、更に、無意識にカテゴライズされたものを多くの人が何の抵抗もなく受け入れていることに疑問を投げかけているよう であります。思考停止と引き換えに安易に安心を与えてくれる「分類された世界」に生きる我々の意識は、少しのきっかけで移ろい、人間関係の希薄さを 露呈します。山邊の画面と対峙することにより、用意されたカテゴリーに追従するだけでなく、その中に分類された物事や事象そのものの本質を 見極め、個人の主体性を保持することの重要性を再認識させてくれるのであります。 gallery near 延近 謙
[作家コメント] モノとモノとの境界線や距離感といったものはヒト それぞれの意識によって創られたものが多く、それらは とても曖昧で、不安に感じることがある。ひとの意識 ほど移ろぎやすく、定まりにくいものはないだろう。
[作家プロフィール] 山邊 桜子 | YAMABE Sakurako 1989 年生まれ 三重県尾鷲市出身 2008 年 三重県立尾鷲高等学校 普通科スタンダードコース卒業 2012 年 京都造形芸術大学 洋画コース卒業
【 主な個展 】 2014 「 Categorize of the world 」(gallery near / 京都) 2013 「 Domestic Matter」(gallery near / 京都) 【 主なグループ展 】 2013 「 TAKE OUT ART!- アートをお持ち帰りする小作品展 - 」(gallery near / 京都) 「Exhibition of HEXADECAGON」( 元・立誠小学校/ 京都) 2012 「第12 回 三日展」(Art Forum JARFO/ 京都) 「京都造形芸術大学 卒業制作展2011」 2011 「第7 回 三日展」(Art Forum JARFO/ 京都) 「四人展」(Art Forum JARFO/ 京都) 2010 「欲展」(Gallery casa de sola/ 京都) 「一歩半歩の欲」( ギャラリースエヒロ)
【 その他の活動 】 2012 - 2013 「Exhibition of HEXADECAGON」企画・運営 2012 「古川町the ART LIVE 2012」企画・運営 テレビ朝日ドラマ「新・おみやさん」に作品2 点が出演
全文提供:cafe dining near ∽ gallery near
会期:2014年5月23日(金)~2014年6月3日(水) 時間:12:00 - 22:00(最終日 - 17:00) 休日:木 会場:cafe dining near ∽ gallery near
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最終更新 2014年 5月 23日 |