佐竹龍蔵:紙と絵具と絵画 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2013年 10月 24日 |
2013年11月22日(金)から12月4日(水)までの12日間、gallery nearにて、佐竹龍蔵 展「紙と絵具と絵画」を開催いたします。 佐竹は、京都造形芸術大学在籍時から毎年のペースで個展を開催、また、様々なグループ展、公募展に出展するなど、意欲的に活動してまいりました。 その独自の技法、表現は多方面からの注目を集め、2009年、2011年には 「Concours des Tableaux」最優秀賞、2010年 「ART AWARD NEXT #1」準大賞、2012年 「GEISAI#16」片桐孝憲賞と、数々の賞を受賞、年を追うごとにその評価と知名度を上げ、今、現代美術界の若手において最も期待される作家の1人であります。自身を含めた作家達で企画するグループ展「脈」では、表現スタイルが異なる作家同士の繋がりによって生まれる、表現の新たな意味や価値観を提示し、表現活動そのものが、社会を繋ぐ「脈動」として広く循環することをコンセプトに、年に1回のペースで開催しております。また、現在同大学において非常勤講師を務める傍ら、京都アートスクール こども造形表現教室 教室長として、後身を育成する事にも従事しており、美術や表現活動がもたらす社会への影響・重要性を認識し、自らの表現以外の所でも尽力する姿勢は、作家として美術に向き合う覚悟と真摯さを窺い知ることができます。 佐竹は、日本画材を用い、点描で画面を構成していくという独自の技法で、透明感のある色彩豊かな画面を表出します。油彩やアクリルのように直接的に飛び込んでくる鮮やかさは、時として作品の印象を強調しすぎる事もあるのに対し、佐竹の表現における決してヴィヴィッドではない日本画材特有の鮮やかさは、佐竹独自の技法と相まり、趣きや情緒といった極めて日本的な感覚を呼び起こしてくれます。【画面上に色の配置と重なりが生み出す奥行きをつくること。作品と鑑賞者との位置関係によって描いたものの形や表情の見え方に変化を与えること。】を軸に制作しているという佐竹自身の言葉にもあるように、透過性のある岩絵具と平筆を用い、ピクセル状に描かれる細やかな点をいくつものレイヤーで重ねることで、平面でありながらも奥行きのある画面となり、描かれたモチーフの表情は見る角度によって次々と違う表情、色彩を見せ始めます。作品と対峙する際の距離や角度、光源の位置や空間の明暗により、画面の印象が変化するよう意図的に描くことで、佐竹が思索する、平面(2次元)という制約の中で、鑑賞者の視点を含めた立体性(3次元)を如何に表現できるかという、作家としての飽くなき探求心を垣間見る事が出来ます。 佐竹は主に「こども」を表現のモチーフとし、感情を押し殺したような少し虚ろにも見える表情や、何かに期待を寄せる嬉々としたものを連想させる表情など、「こども」の豊かで複雑な心象を描いているかのようであります。中でも、特に「目」が印象的であり、全てを見透かすように、じっとこちらを見つめる眼差しは吸い込まれそうな魅力を放ち、左右で色の違う眼球には「こども」の多面性が込められているかのようであります。近年では「こども」以外にも山や河川といった「風景」をモチーフにした作品も見られ、その二つを共に描いた作品も登場しております。高知県の四万十市を故郷に持つ佐竹にとって、子供の頃に見た四万十川周辺を思わせる雄大な風景と幼き頃の自分自身の記憶を辿ることで、自身も影響を受けてきた過去から現在への環境と社会の変化、そして自らを含めた我々大人達が作る未来によって変わらざるを得ない、「こども」達への責務として、より良い未来を託す象徴として、「こども」を描き続けているのではないでしょうか。前述した後身育成にも注力する佐竹の思いは、鑑賞者にも決して他人事ではない、社会全体の大切な問題として投げかけてくるようであります。 本展は、「紙と絵具と絵画」と題され、新作を含む肖像画作品の展示に加え、初の公開制作も行います。前述した佐竹の技法は独自性の高さ故、どのように制作されているのか公開を希望する声も多く、間近でその制作過程をご覧いただける希少な機会となります。紙と絵具という素材に佐竹の感性と技術が加わることで「絵画」に変化していく過程をどうぞご覧ください。 本展をぜひ、貴媒体にてご紹介いただき、広くPRくださいますよう、何卒よろしくお願いいたします。 [作家コメント] [作家プロフィール] 全文提供:cafe dining near ∽ gallery near 会期:2013年11月22日(金)~2013年12月4日(水) |
最終更新 2013年 11月 22日 |