田中加織:庭島 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2012年 12月 21日 |
2013年1月4日(金)から1月16日(水)までの12日間、gallery nearにて、田中加織 展「庭島」を開催いたします。 田中加織は、2003年から毎年のペースで個展を開催し、様々なグループ展にも出展、昨年には自身のアトリエを一般に公開する「KYOTO OPEN STUDIO 2012」(NPO法人 Antenna Media 企画)にも積極的に参加し、精力的に活動してまいりました。2008年からは、国内外問わず様々な アートフェアにも出展しており、国内のみならず、海外においても注目を集める期待の作家の一人であります。彼女が海外からも注目を集めるのは 日本人特有の美意識により生まれた「日本庭園」をモチーフに、現代的な画面構成をもって表現しているというのも大きな理由の1つであります。 「日本庭園」といえば、日本人が作る「人工的自然物」の代名詞とも言えますが、彼女が着目するのは「人工的自然物(日本庭園)」そのものでは無く それらを作り出し、愛でる日本人の心理を「日本庭園」をモチーフにすることで描き出そうとします。日本人の思想や美意識、わびさびの世界などを イマジネーションの集合体ともいえる「庭園」から感じ取り、 日本人としての心、精神性といった、いわば日本人にとっての普遍的なテーマを表現 しております。また、モチーフを極端にデフォルメし、現実と虚構の狭間の世界として表現することで、本来手にすることのできない自然美を集約し 「庭園」という形で、身近に理想郷を作ろうとした日本人の傲慢さを揶揄しているようでもあります。 主に油彩で表現する彼女は、蛍光色を思わせる非常にカラフルでポップな配色で画面を構成し、見るものを一気に惹きつけます。ヴィヴィッドな 色使いに、本来の庭園とは異なる不気味さや不穏さ、畏怖を誘う気配を醸しつつも、デフォルメされたモチーフのユーモラスな形状や、そこから想 像される柔和感に次第に親しみを覚え、作家が意図して作り出す不思議な世界に引き込まれます。「日本庭園」というモチーフからはおよそ想像も つかない、絶妙に配置された色彩の妙は、配色におけるバランス感覚に長けた彼女の真骨頂といえるでしょう。モチーフと色彩とのギャップが見る ものの意識を刺激しつつも、どこかに安堵感を覚えるのは、古来より日本人の心に安らぎを与え続けてきた「日本庭園」を描いているからかもしれ ません。 本展は、2012年に制作された近作を中心に、100号の大作や小作品を交えて構成されます。極めて日本的なモチーフと日本の正月という季節に 併せて開催される本展は、日本人としてのアイデンティティ、精神性を再考してみる機会となり得るのではないでしょうか。 [作家コメント] [作家プロフィール] 全文提供:cafe dining near ∽ gallery near 会期:2013年1月4日(金)~2013年1月16日(水) 時間:12:00 - 22:00 ( 最終日は17:00まで ) 休日:木 会場:cafe dining near ∽ gallery near |
最終更新 2013年 1月 04日 |