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サガキケイタ:転式
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2014年 9月 10日

サガキケイタ ≪helter skullter≫(部分)2014, H373×W764mm, 紙にペン

サガキケイタの作品は、一見すると誰もがどこかで見たことのある絵画や風景のように見えます。しかし近づいて見てみると、真っ白な画 面に 細いペンによって書き込まれたおびただしい量のモチーフによって、画面が構成されていることがわかります。離れることで見えるものと、近づくことで見えてくるもののギャップは強いインパクトをもってわたしたちの意識に入り込み、既存の価値観を揺さぶります。

今回の個展タイトル『転式』は、「見立て=転換様式」という言葉をもとに作家が作った造語であり、「見立て」とは日本の様々な伝統 文化 の中に根付いてきた表現方法です。あるものをなぞらえ別のものとして見て捉えるこの技法によって日本の芸術はその独自性と普遍性を高めていったと言えます。一方、既存の絵画を再構成させて作られるサガキの制作工程においても見立ては欠かすことのできないものになっています。浮世絵や水墨画などをモチーフにした作品が主体となる今回の展示では、日本美術の様式と作家自身の制作とを連動させ、聖と俗という2 つの概念を転換させた構成になっています。

さらにこの個展タイトルは、落語の噺のひとつである転失気【てんしき】(=おなら)という言葉も掛かっています。「転失気」が医学 用語 を知ったかぶる人々の噺であることにたとえ、わたしたちの持つ先入観や、様々な視点からみることで変化するものの見方を問いかけてきます。


全文提供:CASHI
会期:2014年9月5日(金)~2014年10月26日(日)
時間:11:00~19:00
会場:CASHI
最終更新 2014年 9月 05日
 

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