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大舩真言 展:Prism
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 1月 08日

© Makoto OFUNE | Courtesy of neutron tokyo

いよいよこの時がやって来た。neutron tokyo のオープニングを飾るのは、まさにこの新しい空間に光と時間の流れをもたらし、訪れる人々を緩やかに地上から天空へと誘う、大舩真言の全館を使ったワンマンショーである。 大舩は日本画を出自とするが、その作品は決して画面だけで完結せず、展示空間と密接に関係しながら、鑑賞者の出現によってその空間における機能を果たす。

もとより、素材とする岩絵具はその名の通り、鉱物を砕いて出来た画材であり、厳密に言えばそれらは砂粒である。とすれば、その一粒一粒に質量を伴い、その一粒が存在することによって陰影が生じ、その集合体としての絵画には必然的に途方も無い数量のそれらが密集していることになる。我々が絵画=平面としてとらえている限りは、その無数の質量の集積は微量のマチエール程度にしか感じられないかも知れないが、ひとたび彼が用意する空間との共鳴に気づく時、あるいは時間の流れに伴う光の加減や周囲の気配の変化に気づく時、それはもはや一瞬たりとも同じ表情を見せない存在であることを発見する。

彼の展示は絵画というメディアを用いた繊細でダイナミックなインスタレーションであり、翻って私たちが画面の中に目を凝らせば、そこにはまるで宇宙規模の現象が広がっているかも知れないことに気づくだろう。宇宙とは私たちの頭上に横たわる天空(マクロコスモス)だけではなく、私たちの意識の中に広がる無限の領域(ミクロコスモス)をも意味する。 各階の空間の特性を生かした大舩ならではのインスタレーションでは、彼の全シリーズが展開される。地中から天空へと昇るのか、はたまた夜が次第に明けていく様か。彼の世界観が凝縮され、鑑賞者の意識の中で多様に拡散されるだろう。それこそがまさに、「Prism」(光を屈折させる透明の多面体)たる由縁である。

※全文提供: neutron tokyo

最終更新 2009年 1月 10日
 

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