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星に願いを
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 10月 23日

寺島みどり≪星の下≫2004年|F80(112.1×145.5cm)|油彩、鉛筆、キャンバス|画像提供:neutron tokyo copyright(c) Midori TERASHIMA

「星に願いを」

12月の雑踏の中に喜びと悲しみはどちらが多いのだろうか?
見渡す限りの都会のビル群の中で、何人の声が耳に届くだろうか?
電波や信号を経由せずに感じる出来事は記録には残らないのだろうか?
サンタクロースは今でもトナカイに雪車(そり)を曳かせているのだろうか?
誰かに心から何かを捧げたいと思う気持ちはありますか?
そして美術は、人の心に魔法をかけることが出来ますか?
・・・願わくば星空を見上げる気持ちが地上に舞い降りるように。

これは展覧会の導入となるステートメント、というか詩です。恥ずかしながら石橋が書きました。しかしここで問題とするのはこの詩の出来・不出来ではなく、「星に願う」というロマンチックかつ純粋な行為が最近では様々な形のイベントや商品に置き換わり、人間の持つ根源的な祈りの気持ちが失われつつあるのではないかと思う事です。 私達はクリスマスという舶来の行事はもちろん、様々な年中行事をほとんど疑うことなく執り行いはしますが、その本質よりも形式にとらわれてしまい、「一通り済ます」ことを目的としてしまうこともしばしばです。現代人は古来からの形骸だけを引き継いで満足しているのでしょうか。それとも、祈りや捧げるという行為を何かに託して、簡便に・効率よく行っているのでしょうか。洋の東西を別にすることなく、この季節ならではの出来事や気ぜわしさ、そして少なからず揺れ動く心とは、いったい何に由来することなのでしょうか。 この展覧会では、作家には作品に自分の願望や他人を思う気持ちを託し、祈りを捧げるという行為を改めて抽出し直し、独自の解釈で作品へと塗り込めて頂きたいと思います。モチーフとして星(★)を登場させるもよし、クリスマス等既存のイベントにまつわるものを使うもよし、解釈も方向性も様々でありながらも、決して人間を卑下するのではなく、心から祈る(願う)ということの大切さ・純粋さを感じられる様な展覧会になれば成功と感じております。心の片隅に冬の星空を思い描きながら・・・☆
/gallery neutron代表 石橋圭吾

全文提供: gallery neutron

最終更新 2009年 12月 09日
 

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