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大西伸明:Chain
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2009年 12月 17日

画像提供:ギャラリーノマル
Copyright © Nobuaki ONISHI

日常で目にする立体物(コップ等の日用品や工業製品、木・枝また骨等の自然物など)を型取り、その表層のイメージをトレースした大小様々な立体作品で注目を集めている現代美術作家・大西伸明。実物のコピーとしてリアリティーを追求するのではなく、あえて色彩や物質的な薄さをもたせた大西の作品は、固有の物語性を廃した上で立ち現れてくるそのモノ自体の本質を観る者に問いかけてきます。

今展では、これまでの制作で大西が常に意識してきた、イメージの反復、あるいは連続する事象に焦点を当てた新作を発表します。版画やドローイング、今年に入って意欲的に取り組んでいる映像制作や、今回が初の試みとなる音楽といったメディアを用いて、私達の日常生活における物事の捉え方(既成概念)に揺さぶりをかけます。

これまでの樹脂を用いた立体造形作品での視覚表現から、さらに新しいメディアを用いて時間の流れも取り込み、新たな展開で挑む今展、ぜひともご来廊、ご高覧賜りますようお願い申し上げます。

※全文提供: ギャラリーノマル

最終更新 2009年 12月 19日
 

編集部ノート    執筆:小金沢智


「実物大の本物のような偽物」をFRPや樹脂を使い制作してきた作家の新展開。立体作品も展示されていないわけではないが、《Pottery 1》(ceramics, h: 3, w: 21, d: 21 cm (each), 2009)、《Pottery 2》(ceramics, h: 6.3, w: 7, d: 7 cm (each), 2009)の小品二点に留まっている。会場にはドローイング、シルクスクリーン、映像、音楽とヴァリエーション豊かな作品が並んでおり、大西の作品に馴染みがある人ほど一瞬の戸惑いがあるかもしれない。 けれどもつぶさに観察すれば、このヴァリエーションは立体で繰り返し問われていたオリジナルや複製性への思考と軌を一にしていることに気づくのではないか。立体とは異なる種類の不気味さが、それらからも確かに漂っているのである。


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