牡丹靖佳:馬鹿レチェと恐れミエドの会話 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2010年 11月 17日 |
牡丹靖佳は、自らをとりまく日常世界の仕組みを解体し、独自の感性とルールによって、繊細でどこか危うく、そこはかとないユーモアをも感じさせる魅惑的な絵画表現の中に再構築します。 牡丹はしばしば、キャンバス周辺の空間をも巧みに作品に取り込み提示しますが、本展では、ある二人の狂言回しによって展開する物語をベースとし、絵画を中心に、半立体の作品や投影機を使用したインスタレーションなど、多様な表現形態を用いながら、同時開催の寄神くりによる個展とも触発し合うひとつの空間装置としての作品世界をギャラリー空間全体へと展開します。 鑑賞者は、「何か」の予兆と痕跡だけが謎かけのようにちりばめられた空間=作品のなかを彷徨いながら、 物語そのものでもあり、物語の中に登場する屋敷でもあり、狂言回したちが話している部屋でもあり、現実空間でもあるような、いくつもの次元が重なり合った領域へと迷い込み、自らの曖昧で多層的な立ち位置に身を委ねながら、「どれが自分にとっての現実/実体なのか。」 こう問い直すことになるでしょう。 作品解説 牡丹の描く絵画世界では、物質としての絵具と描かれたイメージという、絵画を成り立たせるふたつの相が、あるところでは交わらないものとして重なり、隣り合い、またあるところではグラデーションを成しながら互いに溶け合い、親密に結びつきます。 鑑賞者の眼差しは、通常の意味や文脈から解き放たれた世界の断片が密やかな暗号をやりとりする画面を漂ううちに、その交感の中へと惹き込まれていきます。そして、絵画空間という虚構と、鑑賞者の立つ現実空間は、知らず知らずのうちに地続きとなり、作品とその人との間だけに、もうひとつの風景が立ち現れるのです。 ◆オープニングイベント:1月9日(日)◆ ※全文提供: アートコートギャラリー 会期: 2011年1月9日(日)-2011年2月5日(土) |
最終更新 2011年 1月 09日 |